資金繰り表の作り方【建設業】|工事の入金と支払いのズレを月次で見える化

本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。日本政策金融公庫・中小企業庁・国土交通省・金融庁・全国銀行協会の公表資料と建設業法令をもとに記載しており、報酬の有無によって内容を変えることはありません。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。

工事は受注できている。売上も前の年より伸びている。それなのに、月末になると通帳の残高が心細い。建設業では、こうしたことがよく起きます。原因の多くは「もうかっていない」ことではなく、お金が入る時期と出ていく時期がずれていることです。

この記事では、1級土木施工管理技士で、ゼネコンの施工管理を約10年経験した運営者が、建設業向けの資金繰り表の作り方を、工事ごとの入金と支払いのズレに注目して説明します。日本政策金融公庫が公開している様式の考え方をベースに、前払金・出来高払い・下請代金の支払期日・手形の取扱い終了など、建設業ならではの論点を足していきます。架空の会社の6か月分のサンプルも、数字の検算をしたうえで載せています。

この記事の要点

  • 資金繰り表は「月初の残高+入金-支払い=月末の残高」を、先の6か月分予定で並べる表です
  • 建設業は、外注費・材料費の支払いが先、工事代金の入金が後になりやすい業種です。工事ごとの入金予定日を書き出すのが第一歩です
  • 公共工事の前払金は請負代金の40%、条件を満たせば中間前払金20%が加わる仕組みがあります(発注者により異なります)
  • 電子交換所での手形・小切手の交換は2027年3月31日で廃止と全国銀行協会が明確化しました。手形で受け取っている入金は、早めに予定を見直す必要があります
  • 足りない月が見えたら、まず銀行と相談。ファクタリングは手数料が高いので、前もって表で気づいて手を打つことが一番の節約です

法人で、注文書(発注書)を受け取った段階の工事代金を資金化できるか知りたい方は、条件だけ先に確認しておくと安心です。

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目次

この記事の対象読者

この記事は、次のような方に向けて書いています。記載内容は2026年10月22日時点の公表資料にもとづきます。

  • 中小の専門工事会社・工務店の経営者で、「黒字なのにお金が足りない月がある」と感じている方
  • 会社の経理を任されていて、銀行から「資金繰り表を出してください」と言われた方
  • 元請からの入金が手形や長い支払サイトで、今後の取扱い変更が気になっている方
  • 一人親方で、毎月の外注・材料の支払いと入金のタイミングを整理したい方(簡易版の考え方として使えます)

税金や会計処理の細かい判断は、会社の状況によって変わります。最終的な判断は、顧問の税理士や取引のある金融機関に確認してください。

資金繰り表とは?損益計算書とのちがい

資金繰り表は、現金(預金を含む)がいつ入って、いつ出ていくかを月ごとに並べた表です。決算書の損益計算書とは、見ているものがちがいます。

くらべる点 損益計算書 資金繰り表
わかること もうかったかどうか(利益) お金が足りるかどうか(残高)
数字を入れる時期 工事が完成・引き渡しをした時など、会計のルールで決まる時期 実際にお金が動く日
見る期間 主に過去(1年分の結果) 主に未来(3〜12か月先の予定)
手形の扱い 直接は出てこない(受け取った手形は貸借対照表の「受取手形」に載る) 現金になる日(期日や割引した日)に入金として扱う

たとえば、3月に完成した工事の代金が5月末に振り込まれるなら、損益計算書では3月の売上ですが、資金繰り表では5月の入金です。この2か月のあいだも、職人さんの給料や材料代は払わなければいけません。利益が出ていても、お金が先に尽きれば会社は回らなくなります。いわゆる「黒字倒産」は、このズレから起きることがあります。

公的機関が公開している様式

ゼロから表を作る必要はありません。日本政策金融公庫(国民生活事業)は、「各種書式ダウンロード」のページで「資金繰り表」「資金繰り表(簡易版)」「資金繰り表(記入例)」をExcel等で公開しています。記入例を見ると、表は次の流れでできています。

  • 前月繰越金(月初の残高)
  • 経常収支(ふだんの商売のお金):収入=現金売上・売掛金回収・受取手形の入金や割引/支出=現金仕入・買掛金支払・手形決済・外注加工費・人件費・諸経費
  • 財務収支(借入れと返済):借入金・短期と長期の返済
  • 経常外収支(設備の購入や売却など、ふだんと違うお金)
  • 翌月繰越金(月末の残高)

また中小企業庁は、早期経営改善計画策定支援のページで、質問に数字を入れると資金予定表ができる「資金予定表かんたん作成ツール」を公開しています。同じページでは、計画書の構成要素のひとつとして「資金繰表(実績・計画)」が挙げられています。

建設業で使うときは、この公庫の様式の「売掛金回収」を工事ごとに分け、「外注加工費」を外注先ごとに分けるのがコツです。次の章で、なぜ分けるのかを説明します。

建設業で入金と支払いがずれる5つの理由

建設業の資金繰りが難しいのは、工事1件の金額が大きく、期間が長く、支払いのルールが取引先ごとに違うからです。代表的な原因を表にまとめます。

原因 何が起きるか 資金繰り表での書き方
完成後の一括払い 着工から入金まで数か月、支払いだけが先に出る 完成月ではなく、入金予定月に全額を書く
出来高払い 毎月の出来高(できあがった割合)に応じて入るが、査定で減ることがある 査定の締め日・支払日を確認し、控えめな金額で書く
前払金・中間前払金 着工時にまとまって入るが、使い道は工事の費用 入金月に書き、同じ工事の支払い予定とセットで見る
支払サイト 「月末締め翌々月末払い」など、締めから入金まで間が空く 取引先ごとの締め日・支払日の一覧を作ってから入れる
手形・電子記録債権 受け取っても、期日まで現金にならない 受取日ではなく期日(または割引日)に書く

公共工事の前払金と中間前払金

公共工事には、着工に必要なお金を先に払う「前払金(前金払)」の仕組みがあります。国土交通省関東地方整備局の「資金繰り対策」のページによると、前払金は請負代金額の40%を、資材の購入や労働者の確保などの着工資金として払うものです。受注者が工事を続けられなくなった場合に備えて、前払金保証事業会社が発注者の損失を保証します。この保証があることで、発注者は前払いができる仕組みです。

さらに「中間前払金」は、工期の半ばで20%を追加し、合計60%とする仕組みです。同ページでは、当初の前払金が支出されていること、工期の2分の1を経過していること、その時点までに行うべき作業が行われていること、進捗出来高が請負金額の2分の1以上であること、などが要件として挙げられています。発注者の認定を受けてから請求します。

ただし、前払金の限度額を設けている自治体もあると同ページに書かれています。割合や限度額、使い道のルールは発注者ごと・契約ごとに違うので、資金繰り表に入れる前に、契約書と発注者の要領を確認してください。また前払金は、その工事の費用に使うためのお金です。ほかの工事の支払いに回せるわけではない点にも注意が必要です。

元請は前払金を受けたら下請にも配慮する

建設業法第24条の3第3項では、元請負人は前払金の支払いを受けたときは、下請負人に対して、資材の購入や労働者の募集など着手に必要な費用を前払金として支払うよう「適切な配慮をしなければならない」と定めています。下請の立場なら、元請が前払金を受けている工事かどうかを確認し、着手時の支払いについて相談する根拠になります。

運営者の経験

運営者が在籍していた会社では、協力会社への支払いは基本的に全額現金でした。ただ、支払う側の方針によって現金と手形の割合は会社ごとに違います。取引先ごとの支払条件(現金か手形か、締め日と支払日)を確認して、資金繰り表の入金予定に反映させてください。

下請代金の支払期日と手形のルールを確認する

資金繰り表の入金予定は「いつ払ってもらえるか」で決まります。建設業法には、下請代金の支払時期に関するルールがあります。自社が元請の場合は支払いの予定に、下請の場合は入金の予定に直結します。

ルール 内容(要旨) 資金繰りへの影響
建設業法 第24条の3第1項 元請が出来形部分や完成後の支払いを受けたら、その支払いを受けた日から1か月以内で、できる限り短い期間内に下請代金を支払う 元請への入金日がわかれば、下請への入金の目安がわかる
同 第24条の3第2項 下請代金のうち労務費に相当する部分は、現金で払うよう適切に配慮する 人件費に当たる部分を現金で払ってもらうよう相談する根拠になる
同 第24条の6第1項 特定建設業者が注文者の下請契約では、引渡しの申出の日から50日以内で、できる限り短い期間内に支払期日を定める 引渡しの申出から支払期日までの最長の目安になる
同 第24条の6第3項 支払期日までに一般の金融機関で割引を受けることが難しい手形を交付してはならない 長すぎるサイトの手形は問題になりうる

第24条の6は、注文者が特定建設業者で、下請負人が特定建設業者でも資本金4,000万円以上の法人でもない場合に適用されます(4,000万円は建設業法施行令第7条の2で定める金額)。自社の取引が対象かどうかは、契約の当事者を見て判断してください。

手形サイトは60日が指導の基準に

国土交通省は2024年4月30日付けの通知「手形期間の短縮について」で、特定建設業者が資本金4,000万円未満の一般建設業の許可業者に下請代金を払う場合、2024年11月1日以降に交付する手形期間60日超の手形は、第24条の6第3項が禁じる「割引困難な手形」に当たり違反のおそれがある、としました。同じ日に、中小企業庁と公正取引委員会も、サイトが60日を超える手形等を指導の対象とする運用を2024年11月1日から始めると通知しています。

電子交換所での手形・小切手の交換は2027年3月31日で廃止

全国銀行協会は、2025年3月26日に「2027年度初から電子交換所における手形・小切手の交換を廃止する」と公表し、2026年6月18日には、その廃止時期を2027年3月31日と明確化しました。同協会は、2027年4月1日以降に手形・小切手がすぐに使えなくなるわけではないものの、電子交換所を通さない決済になり、金融機関の判断で取扱いが変わる可能性があると説明しています。

手形・小切手の取扱いの変更は金融機関ごとに案内されるので、取引のある金融機関の案内を必ず確認してください。手形で入金を受けている会社は、資金繰り表の中で「手形入金」の行を独立させ、振込や電子記録債権(でんさい)に切り替わるのはいつかを元請と確認しておきましょう。手形の取扱いの変化と建設業への影響は、手形廃止2026で建設業の資金繰りはどう変わる?で詳しく整理しています。下請法を改正した取適法と建設業の関係は、取適法と建設業の関係を整理をご覧ください。

建設業向け資金繰り表の作り方5ステップ

ここからは、実際に表を作る手順です。最初から完璧を目指す必要はありません。まずは6か月先まで、1万円単位でかまいません。

ステップ1:今の預金残高を確かめる

すべての口座の残高を合計して、表の一番上の「月初の残高」に入れます。すぐに使えない定期預金は分けておくと、実際に動かせるお金がわかりやすくなります。

ステップ2:工事ごとの入金予定を書き出す

受注している工事を一覧にし、工事ごとに「請負金額」「支払条件(前払金・出来高・完成後)」「締め日と支払日」「支払方法(振込・手形・でんさい)」を書きます。そのうえで、何月にいくら入るかを並べます。見込みの工事は、受注が決まるまで入れないのが安全です。

ステップ3:支払い予定を書き出す

外注先・材料の仕入先ごとに、締め日と支払日を確認し、月ごとの支払額を入れます。人件費は、賞与の月や社会保険料も忘れずに入れます。消費税や法人税の納付月、借入金の返済も入れます。建設業は、外注費と材料費の割合が大きいので、ここを工事ごとに見積りの原価から逆算すると漏れが減ります。

ステップ4:月末の残高を計算する

「月初の残高+入金-支払い=月末の残高」を計算し、その月末の残高を翌月の月初の残高にします。Excelなら、この式を入れておけば自動で計算できます。

ステップ5:最低限の残高ラインを決めて、下回る月に色をつける

「月末に最低これだけは残す」という金額を決めます。目安は会社によって違いますが、たとえば月の支払いの1か月分などです。そのラインを下回る月、マイナスになる月に色をつければ、どこで手を打てばいいかが一目でわかります。

サンプル:架空の専門工事会社の6か月資金繰り表

ここでは、架空の専門工事会社「A社」を例に、6か月分の資金繰り表を作ってみます。数字はすべて説明のための架空のもので、単位は万円です。A社は元請数社から工事を受けていて、支払いは「月末締め翌々月末払い」が中心という設定です。4月1日の預金残高は800万円とします。

月 入金 支払い 月末残高
4月 1,200 1,230 770
5月 1,050 1,370 450
6月 850 1,630 −330
7月 1,500 1,350 −180
8月 1,750 1,180 390
9月 1,300 1,150 540
6か月計 7,650 7,910 −

月末残高は、前の月の月末残高に「入金-支払い」を足したものです。たとえば4月は、800+1,200-1,230=770万円です。6か月で見ると入金が7,650万円、支払いが7,910万円で、差は−260万円。4月初めの800万円から260万円減って、9月末は540万円になります。

支払いの内訳(月ごと)

表を見やすくするため、支払いの内訳は別の表にしています。

月 外注費・材料費 人件費 経費・税・返済
4月 760 300 170
5月 900 300 170
6月 1,010 450 170
7月 810 300 240
8月 710 300 170
9月 680 300 170

「経費・税・返済」には、毎月の借入返済60万円を含みます。7月は、税金の納付を想定して70万円多くしています。

この表から読み取れること

  • 6月と7月の月末がマイナスです。このままだと、6月末の支払いができません
  • 原因は、春に着工した工事の外注費・材料費が5〜6月に重なり、6月には賞与(人件費450万円)も出ること。一方で、その工事の代金は「翌々月末払い」のため7〜8月に入ります
  • 8月に大きな入金があり、9月末には残高が540万円に戻ります。つまり一時的なズレで、6か月通して大きな赤字の会社というわけではありません

このように「いつ、いくら、何か月足りないのか」がわかると、取れる手段が変わります。足りないのが2か月だけで、8月に戻る見込みがあるなら、短期の手当てで乗り切れる可能性があるからです。逆に、6か月を通して残高が減り続ける形なら、資金の手当てより先に、利益の出る工事の受け方や原価を見直す必要があります。

対策を入れたあとの表

たとえば、A社が早めに銀行と相談し、6月に当座貸越(後で説明します)で600万円を使い、8月の入金で返したとします。同じく架空の数字です。

月 入金-支払い 資金の手当て 月末残高
4月 −30 なし 770
5月 −320 なし 450
6月 −780 +600(当座貸越) 270
7月 +150 なし 420
8月 +570 −600(返済) 390
9月 +150 なし 540

どの月もマイナスにならなくなりました。実際には利息がかかるので、その分は支払いに足して計算します。ポイントは、6月になってから慌てるのではなく、4月の時点で表を作って気づいていることです。2か月前にわかっていれば、銀行と相談する時間も、元請に前払いや支払条件を相談する時間も取れます。

決算書の未成工事支出金・未成工事受入金とつなげて見る

建設業の決算書には、ほかの業種にはない勘定科目があります。資金繰り表と決算書をつなげて見るために、2つだけ押さえておきましょう。

建設業法施行規則の別記様式第十五号(貸借対照表)・第十六号(損益計算書)で使う勘定科目について、国土交通省の告示「建設業法施行規則別記様式第十五号及び第十六号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類」は、次のように定めています。

勘定科目 告示の定義(要旨) 資金繰りでの意味
未成工事支出金(資産) 引渡しを完了していない工事に要した工事費や、材料購入・外注のための前渡金、手付金など もう払ったが、まだ売上・入金になっていないお金。大きいほど資金が寝ている
未成工事受入金(負債) 引渡しを完了していない工事についての請負代金の受入高 先にもらったお金。手元にはあるが、これから工事の費用に使う

いずれも、長期の工事で工事進行基準によって完成工事高・完成工事原価に含めた分は除く、とされています。会計基準の選び方は会社によって違うので、詳しくは顧問の税理士に確認してください。

資金繰りの見方としては、未成工事支出金が未成工事受入金より大きく膨らんでいるときは、立て替えているお金が多い状態です。決算書を見る銀行も、この2つの差に注目することがあります。資金繰り表で「工事ごとの入金予定」と「工事ごとの支払い」を並べておくと、この差が工事単位で説明できるようになります。工事ごとの原価と入出金をまとめて管理したい会社は、原価管理SaaSの比較も参考になります。

足りない月が見えたときの手段

資金繰り表で足りない月が見えたら、まず「入金を早める」「支払いを調整する」「借りる」「売掛債権を売る」の順に考えます。手段ごとの特徴をまとめます。

手段 特徴 注意点
元請・発注者に相談 前払金・中間前払金の請求、出来高払いへの変更、支払条件の見直しを相談する 早めに、根拠(工程・出来高)を示して相談する
銀行の当座貸越 あらかじめ決めた枠の中で、必要なときに借りて返せる 審査があり、急に枠を作るのは難しい。平時に相談しておく
制度融資(信用保証協会の保証付き) 自治体・金融機関・信用保証協会が連携した融資。保証により借りやすくなる 保証料がかかる。申込みから実行まで日数がかかる
日本政策金融公庫の融資 政府系金融機関の融資。資金繰り表の提出を求められることがある 審査と日数が必要
ファクタリング 売掛債権(請求書)や注文書の代金を、期日前に業者へ売って現金にする。借入れではない 手数料が銀行の利息より高くなりやすい。契約内容をよく確認する

信用保証協会は公的機関で、中小企業の借入れを保証し、金融機関から借りやすくする役割があります(中小企業基盤整備機構「J-Net21」より)。借り手が返せなくなったときは協会が金融機関に代わりに返しますが、借り手はその分を協会に返す必要があります。保証があっても借金が消えるわけではありません。

表のとおり、銀行や公的な融資は、申込みから実行まで時間がかかります。だからこそ、2〜3か月先の不足を、資金繰り表で前もって見つけておくことが大切です。資金繰り表を持って相談すれば、「いつ、いくら、何か月必要で、いつ返せるか」を説明できます。

ファクタリングは「最後の手段のひとつ」として理解しておく

ファクタリングは、売掛債権を業者に売って、入金日より前に現金にする取引です。お金を借りるのとは仕組みがちがい、通常は借入れとして決算書に載るものではありません。その代わり、手数料は銀行の利息より高くなりやすい点に注意が必要です。

金融庁は「ファクタリングの利用に関する注意喚起」で、買取代金が債権額に比べて著しく低い場合は、ファクタリングを装った違法な貸付け(偽装ファクタリング)の疑いがあるとしています。また、売掛先から回収できなかったときに利用者が債権を買い戻す、または自分のお金で支払う契約になっているものは、貸金業に当たるおそれがあると注意を呼びかけています。高額な手数料を払うと、かえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険性があるとも書かれています。

使うとしても、資金繰り表で「何か月だけ、いくら足りないか」を確認し、手数料を払っても工事の利益が残るかを計算してからにしましょう。建設業で使える種類や選び方は建設業のファクタリング、注文書の段階で使う仕組みは注文書ファクタリングとはで説明しています。

請求書の入金を早めたい方(個人事業主も対象):ベストファクターは、発行済みの請求書(売掛債権)を買い取るファクタリングです。手数料や必要書類は、申込み前に必ず確認してください。なお、冒頭で紹介したBESTPAYとベストファクターは、同じ運営会社(株式会社アレシア)のサービスです。

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資金繰り表を続けるコツと一人親方の場合

資金繰り表は、一度作って終わりではありません。毎月、実績を入れて予定を1か月先に延ばしていくことで、精度が上がっていきます。

続けるための4つのコツ

  • 月に1回、日を決めて更新する:たとえば毎月10日に、前月の実績を入れて6か月先まで予定を延ばす
  • 予定と実績のズレを見る:入金が予定より遅れた工事、支払いが予定より多かった工事をメモしておくと、次の見積りや契約条件の交渉に使えます
  • 入金は控えめ、支払いは多めに書く:出来高の査定で減る、追加の材料が出る、ということはよくあります
  • 現場とつなぐ:工程が遅れれば、出来高も入金も遅れます。現場の工程表と資金繰り表を同じ会議で見るだけで、ズレに早く気づけます

Excelでの管理が大変になってきたら、会計ソフトや原価管理のツールを使う方法もあります。導入費用には補助金が使える場合があるので、IT導入補助金2026年版もあわせて確認してみてください。

一人親方は「簡易版」で十分

一人親方の場合も、考え方は同じです。日本政策金融公庫の「資金繰り表(簡易版)」のように、項目を少なくした表で十分です。最低限、次の4つを月ごとに並べてみてください。

  • 元請からの入金予定(締め日と支払日を確認して)
  • 材料代・外注(応援の職人さん)への支払い
  • 生活費(事業と分けて考えるのが理想)
  • 税金・国民健康保険・労災保険の特別加入の保険料など、年に数回まとまって出るお金

一人親方は、確定申告後の納税や、インボイス対応の消費税の納付で、まとまったお金が出る月があります。あらかじめ表に入れておけば、急に慌てずに済みます。一人親方が売掛債権の資金化を考える場合の注意点は、一人親方でも使えるファクタリングにまとめています。

よくある質問

資金繰り表は何か月先まで作ればいいですか?

まずは6か月先までがおすすめです。建設業は工期が長く、支払サイトも2〜3か月あることが多いので、3か月だと不足に気づくのが遅れがちです。慣れてきたら12か月にのばすと、賞与や納税の月まで見通せます。

銀行に出す資金繰り表は、どの様式を使えばいいですか?

日本政策金融公庫の「各種書式ダウンロード」には資金繰り表と記入例があります。取引のある銀行に独自の様式がある場合もあるので、提出先に確認してください。建設業の場合は、工事ごとの入金予定の明細を添えると説明しやすくなります。

前払金を受け取ったら、そのお金でほかの支払いをしてもいいですか?

公共工事の前払金は、その工事の着工に必要な費用に使うためのお金で、使い道が決められているのが一般的です。ほかの工事や会社の運転資金に回すのは避け、発注者の要領や契約書で使い道を確認してください。

手形で入金を受けています。今後、何に気をつければいいですか?

全国銀行協会は、電子交換所での手形・小切手の交換を2027年3月31日で廃止すると明確化しています。元請に、振込やでんさい(電子記録債権)への切り替え時期と、切り替え後の支払日を確認しましょう。資金繰り表では、手形は受け取った日ではなく、現金になる日に入金として書きます。

ファクタリングは借入れになりますか?

ファクタリングは売掛債権の売買(債権譲渡)で、お金を借りる取引ではありません。ただし金融庁は、回収できなかったときに買い戻しを求められる契約など、経済的に貸付けと同じ働きをするものは貸金業に当たるおそれがあると注意を呼びかけています。手数料も高くなりやすいので、まず資金繰り表で不足を前もって見つけ、銀行への相談などを先に考えるのがおすすめです。

まとめ

  • 資金繰り表は「月初の残高+入金-支払い=月末の残高」を、6か月先まで予定で並べる表です
  • 建設業は支払いが先、入金が後になりやすいので、入金は工事ごと、支払いは外注先・仕入先ごとに書き出します
  • 前払金(40%)・中間前払金(20%)、建設業法の下請代金の支払期日(1か月以内・50日以内)を、入金予定に反映させます
  • 電子交換所での手形・小切手の交換は2027年3月31日で廃止。手形の入金は、切り替え時期を元請と確認します
  • 足りない月が見えたら、まず元請への相談や銀行の当座貸越・制度融資を検討。ファクタリングは手数料が高いので、計算してから判断します
  • 月1回の更新と、予定と実績のズレの確認で、表の精度は上がっていきます

手形の取扱い変更が入金に与える影響は手形廃止2026で建設業の資金繰りはどう変わる?、資金化の手段の比べ方は建設業のファクタリングで詳しく解説しています。工事ごとの原価と入出金を一元管理したい方は、原価管理SaaSの比較もあわせてご覧ください。

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参考資料

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この記事を書いた人

Construct Review 運営者・編集責任者。1級土木施工管理技士。ゼネコンで約10年、施工管理に従事。現場で見てきたことをもとに、施工管理技士の受検、転職とキャリア、一人親方と建設会社のお金、現場のDXツールを解説しています。実際に使っていない製品・サービスは、その旨を明記したうえで公開情報をもとに書いています。

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