本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。建設業法・建設業法施行令の条文と、国土交通省・都道府県の手引きなどの公表資料をもとに記載しており、報酬の有無によって内容を変えることはありません。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
元請から「次の現場は金額が大きいから、建設業許可を取ってほしい」と言われた。取引先を増やしたいけれど、許可がないと声がかからない。一人親方が建設業許可を考えるきっかけは、たいていこのどちらかです。一方で、「一人親方には許可はいらない」「法人にしないと取れない」といった話もよく聞きます。どちらも正確ではありません。
この記事では、1級土木施工管理技士で、ゼネコンの施工管理を約10年経験した運営者が、建設業法と施行令の条文、国土交通省と都道府県の手引きを確認し、「500万円の基準の数え方」「一人でも許可の要件を満たせるか」「元請から求められたときにどう判断するか」を整理します。
この記事の要点
- 許可がいらないのは「軽微な建設工事」だけ。建築一式以外は1件500万円未満(消費税込み)。2026年10月22日時点で金額は変わっていない
- 500万円は材料費(元請からの支給材も市場価格で加算)と消費税を含めて数える。契約を分けても合計で判断される
- 許可は個人のままでも取れる。一人親方が自分で「常勤役員等」と「営業所技術者」を兼ねることもできる
- お金の要件は自己資本500万円以上か500万円以上の預金残高証明など。知事許可の新規手数料は9万円
- 無許可で500万円以上の工事を請けると3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。個人で取った許可を法人に引き継ぐには事前の認可が必要
許可のための決算書・確定申告書の整え方や、法人化との順番を税理士に相談する
この記事の対象読者
大工・とび・内装・塗装・設備・土工などで、人を雇わずに仕事を請けている一人親方(個人事業主の職人)の方を想定しています。特に、元請から「許可を取ってほしい」と言われた方、500万円を超える工事も請けて取引を広げたい方に向けた内容です。記載内容は2026年10月22日時点の公表資料にもとづきます。
なお、許可申請の書類づくりそのものは行政書士の業務分野です。本記事は判断の材料をそろえるためのもので、実際の申請は許可を出す都道府県の窓口や行政書士に相談してください。
許可が必要になるのは「1件500万円以上」の工事を請けるとき
建設業法第3条は、建設業を営む人に許可を求めています。ただし、「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者」は許可がいりません(同条第1項ただし書)。一人親方かどうか、個人か法人かは関係ありません。基準は「請ける工事の金額と種類」です。
軽微な建設工事の中身は、建設業法施行令第1条の2で決まっています。2026年10月22日時点でe-Gov法令検索に掲載されている現行の条文を確認したところ、金額は次のとおりで、改正による変更はありませんでした。
| 工事の種類 | 許可がいらない範囲(軽微な建設工事) | 補足 |
|---|---|---|
| 建築一式工事 | 1件の請負代金が1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事 | 家1棟をまとめて請けるような工事 |
| 建築一式工事以外(大工・内装・とび・塗装・電気・管など) | 1件の請負代金が500万円未満 | 一人親方の多くはこちら |
「建築一式工事」は、総合的な企画・指導・調整のもとで建物をつくる工事のことです。下請として一部の工種を請ける一人親方は、ほとんどが「建築一式以外」の500万円基準で考えることになります。
消費税は含めて数える
500万円は税込みの金額です。施行令の条文自体には書かれていませんが、国土交通省「建設業の許可とは」で「いずれも消費税及び地方消費税を含む」と示されています。税抜470万円の工事でも、消費税10%を足すと517万円になり、軽微な建設工事に当たりません。
元請から支給される材料も足す
施行令第1条の2第3項は、注文者が材料を提供する場合、その材料の市場価格(運送賃を含む場合はそれも)を請負代金に加えると定めています。島根県の「建設業法Q&A」(令和8年3月改訂版)は、下請工事400万円に200万円相当の支給材がつく例で「合計600万円となり、無許可業者には発注できない」と説明しています。手間請けで材料は元請持ちという働き方でも、材料分を含めて数える点に注意してください。
契約を分けても合計で判断される
同条第2項は、工事の完成を2つ以上の契約に分けて請けるときは、各契約の合計額を請負代金とすると定めています(正当な理由にもとづいて分割した場合を除く)。前出のQ&Aは、工種ごとに分けた契約、期間をあけた追加の契約、単価契約の小口の積み重ねも、合計で判断するとしています。具体的な金額に当てはめると次のとおりです。
| ケース | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 工種ごとに300万円と250万円の2契約 | 許可が必要 | 同じ工事の分割なら合計550万円で判断 |
| 同じ元請工事で、期間をあけて400万円と200万円を請けた | 許可が必要 | 分割と同じ考え方で合計する |
| はつり・雑工事などの単価契約 | 総額で判断 | 単価×数量の総額が500万円以上なら許可が必要 |
| 税抜460万円+消費税 | 許可が必要 | 税込506万円になる |
「許可がないから、500万円未満に収まるよう2本に分けよう」という考え方は、条文上は通りません。後で説明するように、無許可営業には刑事罰があり、元請側も処分の対象になります。
許可がなくても建設業法は適用される
軽微な建設工事だけを請けている人は、許可がいらないだけで、建設業法の対象外ではありません。請負契約を書面で結ぶ義務(第19条)や、都道府県知事による指示・営業停止の処分(第28条第2項・第3項)などは、許可のない業者にも及びます(島根県Q&A)。偽装請負と見られないための契約の整え方は、偽装請負(建設業・一人親方)の解説もあわせて確認してください。
一人親方が許可を取るための要件
許可は会社だけのものではありません。島根県のQ&Aは「個人業であれば当該個人に、法人であれば法人格に許可が付与されます」と説明しています。一人親方が個人のまま許可を取ることもできます。
要件は建設業法第7条(許可の基準)と第8条(欠格要件)、施行規則で定められています。国土交通省「許可の要件」をもとに、一人親方に当てはめると次のようになります。
| 要件 | 中身(一般建設業) | 一人親方の場合のポイント |
|---|---|---|
| ①常勤役員等(経営業務の管理責任者等) | 建設業に関し、経営業務の管理責任者として5年以上の経験など | 個人は本人か支配人。建設業の個人事業主として5年以上の経験があれば、本人が当てはまる可能性がある |
| ②営業所技術者 | 許可を受ける業種の国家資格、または指定学科卒業+実務経験、または実務経験10年以上など | 本人が兼ねられる(次の章で詳しく説明) |
| ③誠実性 | 請負契約で不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでない | 契約違反や詐欺などがないこと |
| ④財産的基礎 | 自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力など | 預金残高証明で示すのが一般的 |
| ⑤欠格要件に当たらない | 破産して復権していない、拘禁刑以上の刑の執行後5年以内など | 申請書に重要な事項の虚偽記載があっても不許可 |
| ⑥社会保険 | 適用事業所なら健康保険・厚生年金・雇用保険の届出をしている | 人を雇っていない個人は適用除外。除外なら加入していなくても許可は受けられる |
常勤役員等:個人事業主として5年の経営経験
経営業務の管理責任者とは、建設業の営業や経営を対外的に責任をもって行う立場の人のことです。施行規則の基準では、「建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者」が代表的な当てはめ方です。東京都の「建設業許可申請・変更の手引」(令和8年度版)は、個人の事業主は対外的に責任を有する地位として、この経験に当たり得ると示しています。
この経験は書類で証明します。山梨県の確認書類一覧表(令和8年4月1日以降)では、個人事業主の期間を経験に含める場合、必要年数分の確定申告書の控えの写しと、各事業年度1件以上の工事請負契約書の写し(工期と工事内容が書かれ、入金が確認できれば注文書・請求書なども可)を求めています。確定申告をしていない年や、建設業以外の業種で申告していた年は、証明が難しくなります。毎年の申告をきちんと残しておくことが、許可への第一歩です。確定申告の基本は一人親方の確定申告ガイド2026年分で整理しています。
社会保険:人を雇っていなければ適用除外
令和2年10月から、社会保険の加入が許可の要件になりました。ただし、島根県のQ&Aは「各保険の適用除外事業所である場合には、加入していなくても建設業許可を受けることは可能」としています。
厚生労働省によると、健康保険・厚生年金の適用対象となる個人事業所は「常時5人以上の従業員を雇用する特定17業種」で、土木・建設はこの業種に含まれます。人を雇っていない一人親方は対象外で、国民健康保険(または国保組合)と国民年金に加入します。雇用保険は、従業員が5人未満でも、条件を満たす人を雇えば適用事業になることがあります。人を雇い始めたら、年金事務所やハローワークで加入の要否を確認してください。
一人親方が自分で営業所技術者を兼ねられる条件
営業所技術者とは、営業所に常勤し、見積りや契約が技術的に適正かを管理する技術者のことです。2024年12月13日施行の改正で、それまでの「専任技術者」から名称が変わりました。栃木県の案内によると、名称の変更で法律上の要件は変わっていません。
中部地方整備局「建設業許可の手引き」(令和7年2月)は、「主たる営業所であれば経営業務の管理責任者と兼務は可」としています。一人親方の自宅兼事務所が唯一の営業所(主たる営業所)なら、本人が常勤役員等と営業所技術者を1人で兼ねることができます。
一般建設業の営業所技術者になれる主な条件は次のとおりです(建設業法第7条第2号、国土交通省「許可の要件」、中部地方整備局の手引き、栃木県の案内をもとに作成)。
| 持っているもの | 必要な実務経験 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1級・2級の施工管理技士(許可業種に対応する種目) | 原則不要 | どの種目(種別)でどの業種になれるかは決まっている。解体工事業は平成27年度までの合格者に講習修了などの追加条件あり |
| 1級の第一次検定に合格(1級技士補) | 合格後3年 | 土木・建築・電気工事・管工事・造園の種目で、指定学科が対応する業種に限る。指定建設業7業種(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)と電気通信工事業は対象外 |
| 2級の第一次検定に合格 | 合格後5年 | 同上。2023年7月1日以降の申請から適用 |
| 技能検定(建築大工・左官・とび・塗装など) | 1級は原則不要。2級は合格後3年 | 対応する業種が決まっている |
| 指定学科を卒業 | 大学・高専は卒業後3年、高校・専門学校は卒業後5年(専門士・高度専門士は3年) | 土木工学・建築学など業種ごとの指定学科に限る |
| 資格・指定学科なし | 10年以上 | 許可を受ける業種の工事についての経験に限る |
資格がない場合の「実務経験10年」は、証明の負担が大きくなります。山梨県の確認書類一覧では、実務経験を契約書などで示す場合「各月1件以上」の証明を求めており、10年なら120か月分になります。契約書の代わりに注文書・請求書を使う場合は、工期と工事内容が書かれ、入金が確認できる書類が必要です。求められる書類は都道府県で違うため、申請先の手引きを必ず確認してください。
また、1つの業種で実務経験10年を使うと、別の業種でも10年の経験として使うことは原則できません(中部地方整備局の手引きでは、2業種なら合計20年が必要としています)。資格があれば、こうした証明の手間を大きく減らせます。どの資格を何年で取れるかは、施工管理技士は何年で取れる?新受検資格のケース別早見表で確認できます。
運営者の経験
運営者は実務3年を積み、4年目に1級土木施工管理技士に一発合格しました(26歳のころ)。営業所技術者の要件は、資格があれば10年分の実務経験を書類で積み上げる必要がなくなります。現場の経験が長い一人親方ほど、資格で要件を満たす道も一度検討してみてください。
財産要件と確定申告書・決算書の整え方、法人化との関係
許可の要件のうち、一人親方がつまずきやすいのがお金の要件(財産的基礎)です。一般建設業では、次のいずれか1つを満たす必要があります(国土交通省「許可の要件」)。
| 満たし方 | 確認のされ方 | 一人親方の注意点 |
|---|---|---|
| 自己資本が500万円以上 | 直前の決算(個人は確定申告の貸借対照表)で判断 | 貸借対照表がない申告だと使いにくい |
| 500万円以上の資金調達能力 | 申請者名義の口座の預金残高証明書または融資証明書 | 証明日が新しいものが求められる。有効な期間は申請先の手引で確認 |
| 許可を受けて5年以上続けて営業した実績 | 更新のときなどに使う | 新規の許可では使えない |
個人の「自己資本」は確定申告の貸借対照表から計算する
個人の自己資本は、「期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額」に、利益留保性の引当金・準備金を加えた額です(中部地方整備局の手引き、東京都の手引)。少し難しい言葉ですが、要は青色申告決算書の貸借対照表の数字で計算するということです。
ここで差が出るのが日ごろの帳簿です。複式簿記で記帳し、貸借対照表を毎年作っていれば、自己資本で要件を満たせるかを数字で確かめられます。貸借対照表がない場合や自己資本が足りない場合は、申請直前に本人名義の口座に500万円以上ある預金残高証明を用意する方法が一般的です。ただし、扱いは都道府県で違います。たとえば山梨県の確認書類一覧表は、個人の一般建設業の新規申請では金融機関の融資可能証明(500万円以上)を必須とし、預金残高証明書は認めていません。申請先の手引で必ず確認してください。
許可を取ると毎年「決算変更届」が必要になる
許可を受けた後は、毎事業年度が終わってから4か月以内に、工事経歴書や財務諸表を添えた届出(決算変更届)を出す義務があります(建設業法第11条第2項)。個人の事業年度は1月〜12月なので、翌年4月末が目安です。確定申告と決算変更届の数字が食い違わないよう、帳簿・確定申告書・建設業用の財務諸表をそろえて作れる体制にしておくと、更新のときも慌てずに済みます。
個人の許可は法人に自動では移らない
許可は個人に与えられるため、法人を作っても許可はそのまま移りません。以前は、法人成りすると個人の許可を廃業し、法人で取り直す必要がありました。関東地方整備局の資料によると、取り直すまでの間は「軽微な工事以外の工事を請け負うことができない空白期間」が生じていました。
令和2年10月1日からは、建設業法第17条の2により、事前に認可を受ければ、個人から法人への法人成りでも許可を引き継げるようになりました(関東地方整備局の資料は、事業譲渡の対象に「個人から法人への法人成」を含めています)。また第17条の3により、個人の建設業者が亡くなった場合も、死亡後30日以内に相続の認可を申請すれば相続人が引き継げます。
注意したいのは、申請の期限です。大阪府は「承継予定日の少なくとも1か月前まで」、東京都の手引(令和8年度版)は「承継予定日の閉庁日を含まない前日の2か月前から25日前まで」、国土交通大臣許可を扱う関東地方整備局は「承継予定日の90日前まで」としており、許可を出す行政庁ごとに異なります。承継のときも財産的基礎などの要件を満たす必要があり、東京都の手引では一般建設業なら「承継日を証明日とする預金残高証明書(500万円以上)」などを求めています。法人化を考えているなら、許可を取る前か後か、承継の時期をいつにするかを早めに決めておくことが大切です。法人化そのものの判断は一人親方の法人化のタイミングで詳しく整理しています。
許可の申請書づくりは行政書士や都道府県の窓口に相談する分野です。一方で、「貸借対照表を作れる帳簿にする」「自己資本がいくらになるか確かめる」「法人化と許可取得のどちらを先にするか、税金と社会保険の負担を比べる」といった部分は、税理士に相談できる領域です。
許可の財産要件に使える決算書づくりと、法人化の損得を税理士に確認する
申請の手数料と、許可を取った後の義務
一人親方の多くは、営業所が1つの都道府県にだけある「知事許可」になります。手数料は国土交通省「許可申請の手続き」のページで次のように示されています。
| 申請の区分 | 知事許可 | 大臣許可(2つ以上の都道府県に営業所) |
|---|---|---|
| 新規 | 9万円 | 登録免許税15万円 |
| 更新(5年ごと) | 5万円 | 許可手数料5万円 |
| 同じ区分内での業種追加 | 5万円 | 許可手数料5万円 |
知事許可の納め方(収入証紙・現金・キャッシュレスなど)は都道府県によって違います。行政書士に依頼する場合は、これとは別に報酬がかかります。申請から許可までの期間も行政庁ごとに異なるため、元請の工事に間に合うかは窓口で確認してください。
許可を取った後は、主に次の義務があります。
- 5年ごとの更新(建設業法第3条第3項)。国土交通省は、有効期間が満了する30日前までに更新を申請する必要があるとしています
- 毎年の決算変更届(事業年度終了後4か月以内。第11条第2項)
- 変更届(商号・営業所などが変わったら30日以内。第11条第1項)
- 標識の掲示(第40条。掲げないと10万円以下の過料。第55条)
営業所技術者を兼ねている本人が、現場の主任技術者も務められるかには条件があります。中部地方整備局の手引きは、専任が必要ない工事なら「当該営業所において締結された工事」で「工事現場と営業所が近接」していることなどを条件に兼務を認めています。一人親方が自分で現場に入る働き方を続ける場合は、この条件も申請前に窓口で確認しておきましょう。
元請から「許可を取ってほしい」と言われたときの判断
元請が許可を求める理由
元請が許可を求めるのは、気分の問題ではありません。建設業法第28条第1項第6号は、建設業者が許可を受けないで建設業を営む者と下請契約を結んだときを、指示や営業停止の処分の対象にしています。500万円以上の工事を無許可の一人親方に出すと、元請自身が処分を受けるおそれがあるのです。
請けた側の罰則も重く、無許可で建設業を営むと3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(情状により両方)です(第47条)。法人の場合は、法人にも1億円以下の罰金が科されます(第53条)。さらに、建設業法違反で罰金刑を受けると、刑の執行を終えてから5年を経過するまで許可を受けられません(第8条第8号)。「バレなければ」という発想は、将来の許可の道まで閉ざします。
運営者の経験
運営者が元請の施工管理として、一人親方や小規模な協力会社の入場を確認するとき、まず見ていたのは建設業許可の有無でした。許可があるかどうかで、任せられる工事の金額の範囲が変わるためです。
状況別の考え方
| あなたの状況 | 考え方 | 次の一歩 |
|---|---|---|
| 請ける工事は今後も1件500万円未満(税込み・材料込み) | 法律上は許可なしで請けられる | 元請の社内基準で求められているのかを確認する |
| 500万円以上の工事を継続して請けたい | 許可が必要 | 経営経験5年・技術者要件・500万円を満たせるか確認する |
| 経営経験や技術者の要件がまだ足りない | すぐには取れない | 確定申告と契約書を毎年残し、資格取得も並行して準備する |
| 近いうちに法人化も考えている | 許可と法人化の順番が重要 | 税理士と法人化の時期を決め、許可の承継手続きを窓口に確認する |
| 実態は元請の指示どおりに働く常用に近い | 許可より働き方の見直しが先のこともある | 雇用契約や契約内容の見直しを相談する |
元請が「許可」と言っていても、本当の理由は「取引先審査の基準」「社会保険の加入確認」「金額の大きい工事を任せたい」などさまざまです。まずはどの工事で、いくらの金額を想定して、何を求めているのかを具体的に聞いてみてください。金額が500万円未満にとどまるなら、許可よりも先に、労災の特別加入やインボイス登録の状況を整えるほうが求められていることもあります。労災については一人親方の労災保険の特別加入、インボイスについては一人親方のインボイス2026年10月改正で解説しています。
どの業種で取るか
許可は29の業種ごとに受けます(建設業法第3条第2項・別表第一)。たとえば内装の一人親方なら「内装仕上工事業」、とびなら「とび・土工工事業」というように、自分が元請から請ける工事の中身に合う業種を選びます。許可を受けた業種の工事に付随する別業種の工事(附帯工事)は請けられますが(第4条)、どこまでが附帯工事に当たるかは個別の判断になります。業種の選び方も、申請前に窓口や行政書士に確認してください。
よくある質問
一人親方でも建設業許可は取れますか?
取れます。許可は個人にも与えられ、主たる営業所なら本人が常勤役員等と営業所技術者を兼ねられます。建設業の個人事業主として5年以上の経営経験、業種に合った資格または実務経験、500万円以上の自己資本か資金調達能力などを満たす必要があります。
500万円には材料費も含まれますか?
含まれます。自分で仕入れる材料はもちろん、元請から支給される材料も、その市場価格(運送賃を含む場合はそれも)を請負代金に加えて判断します(建設業法施行令第1条の2第3項)。消費税も含めます。
許可を取るために法人化は必要ですか?
必要ありません。個人のままでも許可は取れます。ただし、個人で取った許可は法人に自動では移らないため、近く法人化する予定があるなら、法人化してから取るか、個人で取って事前認可で引き継ぐかを先に決めておくと手戻りが少なくなります。
預金500万円は、ずっと口座に置いておく必要がありますか?
新規の申請では、預金残高証明書などで500万円以上の資金調達能力を示すのが一般的で、証明日が申請日に近いものが求められます。たとえば東京都の手引(令和8年度版)は、証明日が受付日から1か月以内のものとしています。山梨県のように預金残高証明書ではなく融資可能証明を求める県もあり、有効な期間、許可後の扱いや更新時の確認方法は行政庁によって異なるため、申請先で確認してください。資金の出どころや会計処理は、税理士にも確認しておくと安心です。
無許可で500万円以上の工事を請けてしまったらどうなりますか?
建設業法第47条により、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象です。罰金刑を受けると、刑の執行を終えてから5年間は許可を受けられなくなります(第8条第8号)。発注した元請も処分の対象になります。心当たりがある場合は、早めに許可行政庁や弁護士に相談してください。
500万円の基準は将来上がる予定はありますか?
2026年10月22日時点で、軽微な建設工事の金額を変える改正は公表されていません。なお、2025年2月1日には、特定建設業の許可が必要になる下請代金の基準(4,500万円→5,000万円、建築一式は7,000万円→8,000万円)が引き上げられましたが、これは500万円の基準とは別のものです。
まとめ
- 建設業許可がいらないのは軽微な建設工事だけ。建築一式以外は1件500万円未満で、2026年10月22日時点で金額は変わっていない
- 500万円は消費税と材料費(支給材を含む)を足して数え、契約を分けても合計で判断される
- 許可は個人の一人親方でも取れる。本人が常勤役員等と営業所技術者を兼ねられる
- 要件の中心は、個人事業主として5年の経営経験、資格または実務経験、500万円の財産的基礎。確定申告書と契約書を毎年残すことが土台になる
- 知事許可の新規手数料は9万円。許可後は毎年の決算変更届と5年ごとの更新が必要
- 法人化するなら、個人の許可は事前の認可で引き継ぐ。申請期限は行政庁ごとに違うので早めに確認する
許可の前提になる帳簿と申告は一人親方の確定申告ガイド2026年分、許可と一緒に考えたい法人化は一人親方の法人化のタイミング、資格で技術者要件を満たしたい方は施工管理技士は何年で取れる?を参考にしてください。
参考資料
- e-Gov法令検索「建設業法」(第3条・第4条・第7条・第8条・第11条・第17条の2・第17条の3・第28条・第40条・第47条・第53条)
- e-Gov法令検索「建設業法施行令」(第1条の2)
- 国土交通省「建設業の許可とは」
- 国土交通省「許可の要件」
- 国土交通省「許可申請の手続き」(手数料)
- 国土交通省中部地方整備局「建設業許可の手引き」(令和7年2月)
- 国土交通省関東地方整備局「事業承継等の事前認可制度」
- 島根県「建設業法Q&A」(令和8年3月改訂版)
- 東京都都市整備局「建設業許可申請・変更の手引」(令和8年度版)
- 大阪府「建設業の事業承継・相続の認可」
- 栃木県「建設業法等の一部改正について(施行日:令和6年12月13日)」
- 栃木県「建設業法施行規則等の一部改正について(施行日:令和5年7月1日ほか)」
- 山梨県「確認書類一覧表」(令和8年4月1日以降)
- 厚生労働省「個人事業主の皆さま 社会保険への任意加入を考えてみませんか」
