一人親方の確定申告ガイド2026年分|青色申告・経費・消費税と会計ソフトの選び方

作業着姿の職人が、領収書や電卓、ヘルメットと電動ドリルが置かれた机で、スマートフォンを使ってレシートを撮影しているイラスト

本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。制度の内容と期限は国税庁の公表資料をもとに記載しており、報酬の有無によって内容を変えることはありません。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。

独立して一人親方になると、会社員のときは会社がやってくれた税金の計算を、自分でやることになります。「青色申告は何が得なのか」「ガソリン代や作業着は経費になるのか」「インボイスの消費税はいつまで2割でいいのか」。独立1〜3年目は、こうした疑問を抱えたまま3月を迎えがちです。

この記事では、1級土木施工管理技士で、ゼネコンの施工管理を約10年経験した運営者が、令和8年分(2026年分)の確定申告に向けて、一人親方が押さえるべき期限・青色申告・経費・控除の見直し・消費税・会計ソフトの選び方を、国税庁の資料にもとづいて整理します。

この記事の要点

  • 令和8年分の所得税の確定申告は2027年(令和9年)3月15日(月)まで。消費税は3月31日(水)まで
  • 青色申告の最大65万円控除は複式簿記+期限内のe-Tax(または優良な電子帳簿)が条件。紙で出すと55万円になる
  • 労災の特別加入の保険料は必要経費ではなく「社会保険料控除」。国民年金・国民健康保険と同じ扱い
  • 令和8・9年分は、合計所得金額489万円以下なら基礎控除が104万円。青色申告で所得を下げると区分が変わることもある
  • インボイス登録した一人親方の2割特例は令和8年分が最後。令和9・10年分は3割特例か簡易課税を比べて選ぶ

初めての青色申告やインボイスの消費税が不安なら、個人事業主に対応する税理士を探しておく

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目次

この記事の対象読者

大工・とび・左官・内装・設備・電気などで、人を雇わずに元請や上位の業者から仕事を請けている一人親方の方、とくに独立して1〜3年目で、これから自分で確定申告をする方を想定しています。記載内容は2026年10月20日時点の公表資料にもとづきます。

税金の扱いは、取引の中身や家族の状況で変わります。この記事は全体像をつかむためのものです。個別の判断は、税務署や税理士に確認してください。

令和8年分(2026年分)の確定申告:期限とスケジュール

2026年1月1日から12月31日までの所得は、翌年の2027年に申告します。所得税の申告期間は、原則として翌年2月16日から3月15日までです(国税庁 タックスアンサーNo.2020)。国税庁の「主な国税の納期限」では、令和8年分の期限が次のように示されています。

手続き 期限 メモ
所得税の確定申告・納付 2027年3月15日(月) 申告期間は2月16日から
所得税の振替納税(口座引落し) 2027年4月23日(金) 事前に振替依頼書の提出が必要
所得税の延納分の納付 2027年5月31日(月) 3月15日までに半分以上納めた場合
消費税の確定申告・納付 2027年3月31日(水) インボイス登録などで課税事業者の人
消費税の振替納税 2027年4月30日(金) 事前に振替依頼書の提出が必要

※国税庁「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」より。

青色申告の65万円・55万円控除は、期限内に申告することが条件です。3月15日を1日でも過ぎると10万円控除になります(タックスアンサーNo.2072)。還付を受ける申告でも同じです。3月は年度末の工事が重なりやすい時期なので、2月中に出し終える段取りにしておくと安心です。

青色申告と白色申告:一人親方はどちらを選ぶか

個人事業の申告には、青色申告と白色申告があります。どちらも帳簿をつけて保存する義務があります(タックスアンサーNo.2080)。「白色なら帳簿はいらない」わけではありません。手間の差が小さいなら、控除が大きい青色申告を選ぶ人が多いのはこのためです。

青色申告特別控除:65万円・55万円・10万円の違い

控除額 主な要件 向いている人
65万円 55万円の要件に加えて、期限内にe-Taxで申告する。または仕訳帳・総勘定元帳を「優良な電子帳簿」の要件で保存し、届出をする 会計ソフトで複式簿記をつけ、スマホやパソコンで申告できる人
55万円 複式簿記で記帳し、貸借対照表・損益計算書を添付して、期限内に申告する 複式簿記はつけるが、紙で提出する人
10万円 上の要件に当てはまらない青色申告者(簡易な記帳など) まずは簡単な帳簿から始めたい人

※国税庁 タックスアンサーNo.2072をもとに作成。e-Taxは、決算書などをイメージデータ(画像)で送る方法では要件を満たしません。控除額は事業所得などの黒字の範囲までです。

55万円と65万円の差は、提出方法だけです。複式簿記を会計ソフトでつけているなら、e-Taxで出すだけで控除が10万円増えます。e-Taxは、マイナンバーカードと読み取りに対応したスマートフォンがあれば自宅から送信できます。

青色申告の承認申請と開業届の期限

届出書 提出期限
個人事業の開廃業等届出書(開業届) 事業を始めた年分の確定申告期限まで
所得税の青色申告承認申請書 青色申告をしたい年の3月15日まで。1月16日以後に開業した場合は、開業日から2か月以内
青色事業専従者給与に関する届出書 給与を経費にしたい年の3月15日まで。1月16日以後の開業などは、その日から2か月以内

※国税庁 タックスアンサーNo.2090・No.2070より。

注意したいのは、承認申請の期限を過ぎると、その年は青色申告ができないことです。たとえば2026年の途中に独立して、開業から2か月を過ぎてしまった場合、2026年分は白色申告になります。2027年分から青色にしたいなら、2027年3月15日までに申請書を出します。確定申告の期限と同じ日なので、申告と一緒に出す段取りにすると忘れにくくなります。

青色申告のそのほかの特典

  • 青色事業専従者給与:奥さんなど、事業を手伝う家族に払う給与を、届出の範囲で必要経費にできます(届出が必要)
  • 少額減価償却資産の特例:青色申告をする中小事業者は、一定額未満の工具や機械を、買った年に全額経費にできます(年間合計300万円まで)。令和8年度税制改正で、法人では令和8年4月1日以後に取得した資産から上限が30万円未満から40万円未満に引き上げられ、所得税にも同様の措置を講ずるとされています。個人の適用条件は、使う前に税理士か税務署で確認してください

令和9年分から青色申告特別控除が変わる予定

国税庁のリーフレット「令和9年分から青色申告特別控除はどう変わる?」(令和8年4月)では、令和9年分以後の見直しが示されています。

  • 複式簿記+e-Taxで65万円。さらに一定の優良な電子帳簿の要件(請求書データとの自動連携、訂正削除履歴の記録など)を満たすと75万円
  • 簡易簿記の10万円控除は、前々年分の事業所得の収入金額が1,000万円を超える人は対象外になる

令和8年分(2026年分)は、まだ従来の65万円・55万円・10万円です。ただ、令和8年度税制改正の大綱では、令和9年分から55万円控除の要件にe-Taxでの提出が加わり(控除額は65万円)、紙で提出すると55万円控除は受けられなくなる見直しが示されています。今のうちに会計ソフトとe-Taxに慣れておくと、2027年分からの改正にもそのまま対応しやすくなります。

帳簿と書類の保存:紙とデータの両方に注意

保存期間の目安

書類 青色申告 白色申告
帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など、収入や経費を記載したもの) 原則7年 7年
請求書・見積書・納品書・領収書など 原則7年(請求書・見積書・納品書などは5年でよいものがある) 5年

※国税庁 タックスアンサーNo.2070・No.2080をもとに作成。インボイス登録している場合は、消費税の帳簿・請求書の保存ルールも別にかかります。

電子取引データの保存(電子帳簿保存法)

見落としやすいのが、メールで届いたPDFの請求書や、ネット通販で工具や材料を買ったときの領収書データです。こうした電子取引のデータは、紙に印刷して終わりにせず、データのまま保存するのが原則です。国税庁のパンフレット「電子取引データの保存方法をご確認ください」では、次のように整理されています。

  • 改ざん防止の措置:タイムスタンプ、訂正削除の履歴が残るシステム、または「事務処理規程」を定めて守る方法のいずれか。事務処理規程はシステム費用をかけずに始められます
  • 検索できる状態:「日付・金額・取引先」で検索できること。ファイル名を「20261020_33000_○○建材.pdf」のように規則的に付けてフォルダにまとめる方法も示されています
  • 検索要件が不要になる場合:基準期間(2年前)の売上高が5,000万円以下で、税務職員の求めに応じてデータを出せるようにしているとき
  • 猶予措置:システムが間に合わないなど「相当の理由」がある場合。ただし、環境が整っているのに保存しない場合は対象外です

多くの一人親方は売上5,000万円以下なので、検索要件は不要になりやすい立場です。それでもデータを消さずに残すことと、改ざん防止の措置は必要です。クラウド会計ソフトの証憑保存機能を使うと、日付・金額・取引先がひも付いた状態で保存しやすくなります。

一人親方の経費:建設の仕事でよく出る具体例

必要経費になるのは、事業の収入を得るために直接かかった費用です。私用と仕事用が混ざる支出(家事関連費)は、取引の記録などから、業務に直接必要だった部分を明らかに区分できる場合に、その部分だけが経費になります(タックスアンサーNo.2210)。

費目 具体例 注意点
工具・器具 電動工具、測定器、脚立、刃物・ビットなどの消耗品 高額なものは減価償却。青色なら少額減価償却資産の特例も検討
作業着・安全用品 作業着、安全靴、ヘルメット、安全帯(墜落制止用器具)、手袋 現場専用で私服と区別できるもの。普段着にも使う服は避ける
車両 現場へ行く軽トラ・バン、車検・修理代、自動車保険 車の購入代は減価償却。私用でも使うなら走行距離などで按分
ガソリン・高速代 現場・資材店への移動の燃料代、高速料金 私用分は除く。ETCの利用明細を残す
駐車場代 現場近くのコインパーキング、資材置き場や車庫の月極 自宅の車庫を私用と共用なら按分
通信費 携帯電話、通信料、現場写真・連絡用のアプリ 私用と共用なら通話記録などで按分
材料費 自分で手配したビス・コーキング・テープ・補修材 元請の支給材は自分の経費にならない
外注費 応援を頼んだ別の一人親方への支払い 請求書・振込記録を残す。給与と区別する
事務・その他 会計ソフト、資格の更新講習、作業に必要な研修 領収書と内容のメモを残す

※表は一般的な例です。経費になるかは、使い方と記録で判断されます。迷うものは税理士か税務署に確認してください。

労災の特別加入の保険料は「経費」ではなく「控除」

一人親方が現場に入るために加入することが多い労災保険の特別加入。その保険料は、国税庁 タックスアンサーNo.1130で社会保険料控除の対象として「労働者災害補償保険の特別加入者の規定により負担する保険料」が挙げられています。つまり、帳簿上は事業の経費ではなく、確定申告書の「社会保険料控除」の欄に書くものです。

国民年金、国民健康保険(建設国保など国民健康保険組合の保険料を含む)も同じ社会保険料控除です。小規模企業共済の掛金は「小規模企業共済等掛金控除」になります(タックスアンサーNo.1135)。どれも全額が所得から差し引かれるので、支払った証明書や領収書を1年分まとめて保管しておきましょう。特別加入の団体に払う会費や手数料は、保険料とは別の扱いになるので、明細を分けて確認すると安心です。特別加入の仕組みは一人親方の労災保険の特別加入で解説しています。

家事按分の考え方

自宅を事務所や資材置き場に使う、私用車で現場に行く、といった場合は、使った割合で按分します。割合に決まった数字はありません。大事なのは、説明できる根拠を残すことです。

  • 車:仕事の日の走行距離と全体の走行距離をメモし、その割合で按分する
  • 携帯電話:仕事の通話・通信が多い月の明細を例として残しておく
  • 自宅:作業や保管に使う部屋の面積の割合で按分する

「なんとなく半分」ではなく、数字の根拠を毎年同じ方法で残しておくと、後から聞かれても説明しやすくなります。

基礎控除・給与所得控除の見直し:一人親方への影響

令和7年度税制改正で、2025年分(令和7年分)から基礎控除が引き上げられました。さらに令和8年度税制改正で、2026年分(令和8年分)から基礎控除がもう一段引き上げられています(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。

合計所得金額 令和7年分 令和8・9年分 令和10年分以後
132万円以下 95万円 104万円 99万円
132万円超336万円以下 88万円 104万円 62万円
336万円超489万円以下 68万円 104万円 62万円
489万円超655万円以下 63万円 67万円 62万円
655万円超2,350万円以下 58万円 62万円 62万円

※国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」「令和8年分 年末調整のしかた」をもとに作成。本則の基礎控除(令和8年分以後62万円)に、居住者向けの特例の加算額を足した金額です。2,350万円超は改正なし。

一人親方にとってのポイント

一人親方の場合、「合計所得金額」は主に事業所得です。事業所得は、売上から経費を引き、さらに青色申告特別控除を引いた金額です。このため令和8・9年分は、青色申告の控除や経費の計上で合計所得金額が489万円以下に収まるかどうかで、基礎控除が104万円か67万円かが変わります。

例:控除前の事業所得が540万円の人(令和8年分)
10万円控除だと合計所得金額530万円 → 基礎控除67万円
65万円控除だと合計所得金額475万円 → 基礎控除104万円
所得から引かれる額の差は、青色控除で55万円+基礎控除で37万円=合計92万円

※ほかの所得や控除がない単純化した例です。実際の税額は、ほかの控除や住民税の扱いで変わります。

ただし、令和10年分以後は加算部分が縮小する予定です。2026年分の税額が軽くなっても、それが続くとは限りません。浮いた分を納税資金として取り分けておく考え方が無難です。

独立1年目で給与もある人

年の途中まで会社員だった人は、給与所得と事業所得の両方を申告します。給与所得控除の最低保障額は、令和7年分から65万円に、令和8・9年分は特例で74万円に引き上げられています(収入190万円以下の場合)。会社の源泉徴収票を必ず受け取っておき、確定申告で事業所得と合わせて計算します。

家族を扶養している人

令和8年分から、扶養親族や同一生計配偶者の所得要件が合計所得金額58万円以下から62万円以下に引き上げられました(給与収入だけなら136万円以下)。パートで働く配偶者がいる場合は、扶養に入れるかどうかを確認し直しましょう。なお、青色事業専従者として給与を払っている家族は、配偶者控除や扶養控除の対象になりません。

消費税:インボイス登録している一人親方は2026年分が節目

元請からの求めでインボイス(適格請求書発行事業者)に登録した一人親方は、消費税の申告も必要です。令和8年分(2026年分)の申告期限は2027年3月31日(水)です。

2割特例は令和8年分が最後、令和9・10年分は3割特例

  • 2割特例:納める消費税を、売上の消費税額の2割にできる措置。国税庁は「2割特例は、令和8年分の確定申告まで適用可能です」としています
  • 3割特例:令和8年度税制改正で新設。インボイス登録を機に課税事業者になった個人事業者が、令和9年分・令和10年分に、納める税額を売上の消費税額の3割にできます。基準期間の課税売上高が1,000万円以下であることなどが要件です

簡易課税:材料を自分で手配するかどうかで区分が変わる

簡易課税制度は、売上の消費税額にみなし仕入率を掛けて、納める税額を計算する方法です(基準期間の課税売上高5,000万円以下)。建設業は原則として第3種事業(みなし仕入率70%)ですが、国税庁の事業区分の表では、他の事業者から原材料の支給を受けて人的役務を提供する場合は第4種事業(60%)とされています。手間請け・人工出しが中心の一人親方は、第4種になる可能性が高い点に注意が必要です。

計算方法 納める税額の目安 売上の消費税が60万円の場合
2割特例(令和8年分まで) 売上の消費税×20% 12万円
3割特例(令和9・10年分) 売上の消費税×30% 18万円
簡易課税 第3種(材料込みの工事) 売上の消費税×30% 18万円
簡易課税 第4種(材料支給・手間請け) 売上の消費税×40% 24万円

※税抜の売上600万円(消費税10%)を想定した単純化した目安です。一般課税の場合は、実際の仕入や経費にかかった消費税で計算します。

2割・3割特例を使った翌年分は、その年の申告期限までに「簡易課税制度選択届出書」を出せば、その年から簡易課税に切り替えられる特例もあります。手間請け中心なら3割特例のほうが有利になりやすい、など取引の形で答えが変わります。2026年10月からの改正の詳しい内容は一人親方のインボイス、2026年10月の改正で解説しています。

会計ソフトの選び方:一人親方が見るべき比較軸

青色申告の65万円控除を受けるには、複式簿記の帳簿が必要です。手書きでも不可能ではありませんが、現場仕事のあとに毎日つけるのは現実的ではありません。クラウド会計ソフトを使うと、銀行やカードの明細から仕訳を作り、決算書の作成からe-Taxでの送信まで続けて行えます。国税庁のリーフレットでも、クラウド会計ソフトは仕訳の自動集計や銀行口座連携が使えると紹介されています。

個人事業主向けのクラウド会計ソフトには、freee会計、マネーフォワード クラウド確定申告、やよいの青色申告 オンラインなどがあります。どれが合うかは使い方で変わるので、次の軸で比べるのがおすすめです。

比較軸 確認すること 一人親方にとっての意味
スマホでレシート撮影 撮影した領収書から日付・金額を読み取れるか。データの保存(電子帳簿保存法)に対応しているか 資材店やコインパーキングの領収書を、その場で撮って捨てずに済む
銀行・カード連携 使っている銀行口座・事業用カードと連携できるか 元請からの入金、ガソリン代、ETCの明細を手入力しなくてよい
青色65万円・e-Tax 複式簿記の帳簿と決算書を作れるか。スマホからe-Taxで送れるか 期限内のe-Taxで65万円控除を受けられる
消費税申告 消費税の申告書を作れるか。2割特例・3割特例・簡易課税に対応しているか。対応は上位プランだけか インボイス登録しているなら必須。安いプランでは対象外のことがある
料金と改定 年額・月額、初年度の条件、料金改定の予定 毎年払う固定費。改定予定を公式サイトで確認する

とくに注意したいのが消費税申告です。たとえばマネーフォワード クラウド確定申告の公式料金ページ(2026年10月20日確認)では、いちばん安いパーソナルミニプランは消費税申告の対象外とされ、2026年12月に料金体系の一部改定が予定されていると書かれています。インボイス登録している人は、消費税申告に対応するプランかどうかを必ず確認してください。料金はどのソフトも変わることがあるので、契約前に公式サイトで最新の情報を見るのが確実です。

無料で申告書を作るだけなら、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」もあります。ただし、作成コーナーは申告書を作る仕組みで、1年分の帳簿をつける機能はありません。65万円控除を狙うなら、帳簿は会計ソフトでつけることになります。

会計ソフトの導入には、IT導入補助金(2026年度は「デジタル化・AI導入補助金」)が使える場合があります。国税庁のリーフレットでも、小規模事業者は導入費用の最大80%が補助されると紹介されています。対象になるツールや申請方法は建設業のIT導入補助金2026にまとめています。

会計ソフトが向かない人もいる

  • 取引が少なく、10万円控除の簡易な帳簿で十分な人は、毎年の利用料のほうが高くつくことがあります
  • 銀行連携をしても、現金払いが多いと手入力が残ります。事業用の口座とカードを分けておかないと、連携の効果は小さくなります
  • 仕訳の勘定科目を自動で提案してくれても、最終的に正しいかを判断するのは自分です

税理士に頼むべきケース

会計ソフトがあれば、多くの一人親方は自分で申告できます。一方で、次のような場合は税理士に相談したほうが、結果的に手間も税金も抑えられることがあります。

  • 独立1年目で、給与所得と事業所得が混ざっている(退職時期、源泉徴収票、開業日の扱いなど)
  • インボイス登録していて、2割特例が終わる2027年分からの計算方法を決めたい(3割特例・簡易課税・一般課税の比較、第3種か第4種かの判定)
  • 売上が1,000万円前後に近づいている(3割特例の要件や、令和9年分以後の10万円控除の対象外ルールに関係する)
  • 車や高額な機械を買った(減価償却の方法、少額減価償却資産の特例が使えるか)
  • 家族に給与を払いたい(青色事業専従者給与の届出と金額の決め方)
  • 過去の申告に漏れがありそう、または期限に間に合わなかった
  • 法人化(会社にすること)を考え始めた

税理士への依頼は、毎月の記帳から任せる形のほか、「決算と申告だけ」「年に数回の相談だけ」といった頼み方もあります。費用と頼める範囲は事務所ごとに違うので、複数の事務所の条件を比べてから決めると安心です。

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確定申告までにやっておくこと(2026年11月〜2027年3月)

時期 やること
11〜12月 会計ソフトに1年分の取引が入っているか確認。領収書の撮り忘れ、ネット購入の領収書データを整理する
12月末 年末の売掛金(12月分の請求で入金が翌年のもの)を確認。高額な工具の購入は必要性で判断する
1月 国民年金・国民健康保険・特別加入の保険料、小規模企業共済などの証明書を集める。マイナンバーカードの暗証番号を確認
2月 決算書を作り、2月16日以降に所得税をe-Taxで申告。インボイス登録者は消費税の申告書も作る
3月15日まで 所得税の申告・納付期限。2027年分から青色にする人は承認申請書も提出
3月31日まで 消費税の申告・納付期限

年末に入金されていない12月分の売上も、その年の売上として計上するのが原則です。元請の締め日と支払日の間が長いと、入金が翌年にずれ込みます。入金待ちで手元の資金が厳しいときの選択肢は一人親方でも使えるファクタリングで整理しています。

よくある質問

独立1年目の途中で開業届を出し忘れました。今からでも間に合いますか

開業届(個人事業の開廃業等届出書)の提出期限は、事業を始めた年分の確定申告期限までとされています(タックスアンサーNo.2090)。ただし、青色申告の承認申請は、1月16日以後の開業なら開業日から2か月以内です。こちらを過ぎていると、その年は白色申告になります。

労災の特別加入の保険料は、経費に入れてはいけないのですか

国税庁は、特別加入者が負担する保険料を社会保険料控除の対象としています(タックスアンサーNo.1130)。経費に入れるのではなく、確定申告書の社会保険料控除の欄に書きます。経費に入れると事業所得(合計所得金額)が変わり、基礎控除の区分などにも影響しうるため、社会保険料控除の欄に正しく書き、二重に計上しないよう注意してください。

e-Taxで出さないと、どれくらい損ですか

複式簿記で帳簿をつけている場合、紙で出すと55万円控除、期限内にe-Taxで出すと65万円控除です。差は所得から引ける額で10万円です。実際に減る税額は、所得税と住民税の税率によって変わります。

2割特例が終わったら、必ず簡易課税の届出が必要ですか

個人事業者は、令和9年分・令和10年分に3割特例が使える場合があります(要件あり)。国税庁の資料では、3割特例は確定申告書にその旨を付記して適用するとされています。ただし、簡易課税のほうが有利なケースもあります。材料込みの工事が中心か、手間請けが中心かで結論が変わるので、2026年分の申告のときに一度比べておくのがおすすめです。

まとめ

  • 令和8年分の所得税の確定申告は2027年3月15日(月)まで、消費税は3月31日(水)まで
  • 青色申告の65万円控除は、複式簿記+期限内のe-Taxが近道。期限を過ぎると10万円控除になる
  • 青色申告の承認申請は、原則その年の3月15日まで。1月16日以後の開業は2か月以内
  • メールのPDF請求書やネット購入の領収書は、データのまま保存する(電子取引データの保存)
  • 工具・作業着・車両・ガソリン・駐車場・携帯・材料は経費になりうる。私用と共用なら根拠を残して按分
  • 労災の特別加入の保険料は、国民年金・国保と同じ社会保険料控除
  • 令和8・9年分は合計所得金額489万円以下なら基礎控除104万円。令和10年分以後は縮小予定
  • インボイス登録者の2割特例は令和8年分が最後。手間請け中心なら簡易課税は第4種(60%)になりやすい
  • 会計ソフトは、レシート撮影・銀行連携・65万円控除とe-Tax・消費税申告の対応プランで比べる

インボイスの改正は一人親方のインボイス、2026年10月の改正、労災の備えは一人親方の労災保険の特別加入、入金待ちの資金繰りは一人親方でも使えるファクタリングで解説しています。

参考資料

  • 国税庁「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」 Web
  • 国税庁 タックスアンサーNo.2020「確定申告」 Web
  • 国税庁 タックスアンサーNo.2072「青色申告特別控除」 Web
  • 国税庁 タックスアンサーNo.2070「青色申告制度」 Web
  • 国税庁 タックスアンサーNo.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」 Web
  • 国税庁 タックスアンサーNo.2090「新たに事業を始めたときの届出など」 Web
  • 国税庁 タックスアンサーNo.2210「やさしい必要経費の知識」 Web
  • 国税庁 タックスアンサーNo.1130「社会保険料控除」 Web
  • 国税庁 タックスアンサーNo.1135「小規模企業共済等掛金控除」 Web
  • 国税庁「簡易簿記による10万円の青色申告特別控除を適用している皆様へ(令和9年分から青色申告特別控除はどう変わる?)」令和8年4月 PDF
  • 国税庁「電子帳簿保存法 電子取引データの保存方法をご確認ください」 PDF
  • 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」 Web
  • 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」 Web
  • 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」昨年と比べて変わった点 PDF
  • 国税庁「令和8年度税制改正の大綱(抄)個人所得課税」 PDF
  • 国税庁「令和8年度 法人税関係法令の改正の概要」主な中小企業税制の見直し PDF
  • 国税庁 タックスアンサーNo.6601「消費税の申告と納税」 Web
  • 国税庁 タックスアンサーNo.6498「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」 Web
  • 国税庁「インボイス制度に関するお知らせ 令和8年度税制改正特集(2割特例は令和8年分の確定申告まで)」 PDF
  • 国税庁「令和8年度税制改正特集(インボイス関係)」 Web
  • 国税庁 タックスアンサーNo.6505「簡易課税制度」 Web
  • 国税庁 質疑応答事例「日本標準産業分類からみた事業区分(D建設業ほか)」 Web
  • マネーフォワード クラウド確定申告「料金プラン」(2026年10月20日確認) Web
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Construct Review 運営者・編集責任者。1級土木施工管理技士。ゼネコンで約10年、施工管理に従事。現場で見てきたことをもとに、施工管理技士の受検、転職とキャリア、一人親方と建設会社のお金、現場のDXツールを解説しています。実際に使っていない製品・サービスは、その旨を明記したうえで公開情報をもとに書いています。

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