取適法と建設業の関係を整理|2026年1月施行の改正下請法と建設業法の違い

建設会社の事務所の机に注文書・請求書・工事図面の束と電卓、ヘルメットが置かれ、窓の外に建設中のビルとクレーンが見えるイラスト

本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。制度の内容は公正取引委員会・中小企業庁・国土交通省の公表資料をもとに記載しており、報酬の有無によって内容を変えることはありません。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。

2026年1月1日から、下請法が「取適法(中小受託取引適正化法)」に変わりました。手形払いの禁止など大きな改正もあり、「うちの会社の支払いも変わるのか」「元請からの手形はなくなるのか」と気になっている建設会社の方は多いはずです。ところが、建設工事の下請取引には、取適法は適用されません。ここを取り違えると、相談先も、主張できる根拠も間違えてしまいます。

この記事では、1級土木施工管理技士で、ゼネコンの施工管理を約10年経験した運営者が、取適法の改正点と、建設工事を守る建設業法(改正法が2025年12月に全面施行)の違いを整理します。「この取引はどちらの法律か」の事例表、発注する側・受ける側のチェックリスト、相談窓口までまとめました。

この記事の要点

  • 取適法は2026年1月1日施行。下請法の名称が変わり、手形払いの禁止、協議に応じない一方的な代金決定の禁止、従業員基準の追加、運送委託の追加などが加わった
  • 建設工事の請負・下請負は取適法の対象外。元請・下請間の支払いや代金は建設業法で守られる
  • 改正建設業法は2025年12月12日に全面施行。「労務費に関する基準」が勧告され、著しく低い労務費等での見積り・見積り変更依頼の禁止、受注者側の原価割れ契約の禁止などが始まった
  • ただし建設会社でも、設計・図面作成の外注、資材の製造委託、建設工事に当たらない修理、資材の販売先への運送などは取適法の対象になりうる
  • 困ったら、建設工事なら国交省の「駆け込みホットライン」、それ以外の取引なら公正取引委員会や「取引かけこみ寺」へ。最終判断は弁護士に確認する

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目次

この記事の対象読者

中小建設会社の経営者・経理・購買の担当者、専門工事会社(サブコン)の方を想定しています。元請として発注する立場、下請として受ける立場の両方を扱います。記載内容は2026年10月20日時点の公表資料にもとづきます。個別の取引が違反に当たるかどうかの最終判断は、弁護士など専門家に確認してください。

取適法とは:下請法が2026年1月1日から名前も中身も変わった

取適法は、発注する側の会社(委託事業者)が、立場の弱い受注側の会社(中小受託事業者)に、代金の支払い遅れや不当な減額などのしわ寄せをしないよう定めた法律です。もとは1956年にできた「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」で、2025年5月16日に改正法が成立し、2026年1月1日に施行されました(中小企業庁「下請法・下請振興法の改正法が成立しました」)。

名称と用語の変更

「下請」という言葉は、発注者と受注者が対等でない関係を連想させるとして、法律名と用語が改められました。

項目 改正前 改正後(2026年1月1日〜)
法律名 下請代金支払遅延等防止法(下請法) 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)
発注する側 親事業者 委託事業者
受ける側 下請事業者 中小受託事業者
代金 下請代金 製造委託等代金
支援法 下請中小企業振興法 受託中小企業振興法(振興法)

※中小企業庁・公正取引委員会の公表資料より。

対象になる取引と会社の規模

取適法が使われるかどうかは、「取引の内容」と「両社の資本金または従業員数」の組み合わせで決まります。対象になる取引は、製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託・特定運送委託の5つです。

取引の種類 委託事業者(発注側) 中小受託事業者(受注側)
製造委託・修理委託・特定運送委託、情報成果物作成委託・役務提供委託のうちプログラム作成・運送・倉庫保管・情報処理 資本金3億円超 資本金3億円以下(個人を含む)
資本金1千万円超3億円以下 資本金1千万円以下(個人を含む)
従業員300人超 従業員300人以下(個人を含む)
上記以外の情報成果物作成委託・役務提供委託(設計図面の作成など) 資本金5千万円超 資本金5千万円以下(個人を含む)
資本金1千万円超5千万円以下 資本金1千万円以下(個人を含む)
従業員100人超 従業員100人以下(個人を含む)

※公正取引委員会「取適法リーフレット」より。従業員基準は2026年改正で追加。従業員数は賃金台帳の対象となる労働者で数え、パート・アルバイトも含みます(公正取引委員会「取適法よくある質問」Q8)。

委託事業者の4つの義務と11の禁止行為

取適法の対象になると、発注する側には次の義務がかかります(公正取引委員会「委託事業者の義務」)。

  • 発注内容等の明示:発注したら直ちに、内容・代金・支払期日・支払方法などを書面か電磁的方法で示す
  • 支払期日を定める:物品などを受け取った日から60日以内の、できる限り短い期間で決める
  • 書類の作成・保存:取引の記録を作り、2年間保存する
  • 遅延利息の支払い:期日に払わなかった場合、受領日から60日を過ぎた日から、未払額に年14.6%の遅延利息を払う

禁止行為は、受領拒否、支払遅延、代金の減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、報復措置、有償支給原材料等の対価の早期決済、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直し、協議に応じない一方的な代金決定の11項目です(公正取引委員会「委託事業者の禁止行為」)。

2026年改正の主なポイント5つ

1. 手形払いの禁止(電子記録債権・ファクタリングも条件つき)

代金の支払いに手形を使うことが禁止されました。電子記録債権(でんさい等)やファクタリングを使った支払いも、支払期日までに代金の満額を現金で受け取ることが難しいものは禁止です。また、振込手数料を受注側に負担させることも禁止されました(公正取引委員会 取適法特設サイト)。

ここで言う「ファクタリング」は、発注側が支払手段として使う一括決済方式などのことです。受注側が自分の売掛金を資金調達のために売る、一般的なファクタリングとは別の話なので注意してください。

2. 協議に応じない一方的な代金決定の禁止

受注側から「材料費や人件費が上がったので価格を見直したい」と協議を求められたのに、発注側が協議に応じない、または必要な説明をしないまま一方的に代金を決めることが禁止されました。従来の「買いたたき」は「著しく低い代金」かどうかが論点でしたが、今回は協議のプロセスそのものが問われます。

3. 従業員基準の追加

これまでは資本金だけで対象を判断していたため、資本金は小さいが従業員が多い会社は規制の外にいました。改正で、従業員300人(役務提供委託等は100人)の基準が加わり、資本金基準に当てはまらなくても対象になる場合があります。

4. 特定運送委託の追加

荷主が、製造・販売した物を相手に引き渡すための運送を運送事業者に委託する取引が、新たに対象になりました。物流業界へのしわ寄せ(荷待ち・無償の荷役など)への対応です。

5. 面的執行の強化

公正取引委員会と中小企業庁に加え、事業を所管する省庁の大臣にも指導・助言の権限が与えられました。報復措置の禁止に関する申告先にも、事業所管省庁の大臣が加わっています。

建設工事の請負は取適法ではなく建設業法で守られる

なぜ取適法の対象外なのか

公正取引委員会の「取適法よくある質問」Q5は、建設工事の下請負(建設工事の再委託)には取適法は適用されないと明記しています。建設工事の元請・下請間の取引は、建設業法が支払期日や代金について独自のルールを持っているためです。建設業法違反が独占禁止法上の不公正な取引方法にも当たる場合は、国土交通大臣や都道府県知事が公正取引委員会に措置を求める仕組みもあります(建設業法第42条)。

つまり、ゼネコンから専門工事会社への発注、一次下請から二次下請への発注など、工事そのものの請負は建設業法で考えるのが基本です。「取適法で手形が禁止されたから、元請の手形も違法だ」とは、そのままは言えません。

建設業法の支払いルール

ルール 内容 根拠
下請代金の支払い 元請が注文者から出来高払い・完成払いを受けたら、受けた日から1か月以内で、できる限り短い期間内に下請代金を払う 第24条の3第1項
労務費は現金で 下請代金のうち労務費に相当する部分は現金で払うよう適切に配慮する 第24条の3第2項
特定建設業者の支払期日 下請が引渡しを申し出た日から50日以内の、できる限り短い期間内で期日を決める(下請が特定建設業者や資本金4,000万円以上の法人の場合を除く) 第24条の6第1項
割引困難な手形の禁止 特定建設業者は、支払期日までに一般の金融機関で割引を受けることが困難な手形を交付してはならない。手形期間が60日を超える手形は、これに当たると認められる場合がある(下請が特定建設業者や資本金4,000万円以上の法人の場合を除く) 第24条の6第3項
不利益取扱いの禁止 下請が国交省・公取委・中小企業庁に違反を通報したことを理由に、取引停止などの不利益な扱いをしてはならない 第24条の5

※国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン(第12版)」(2026年1月)より。

建設工事の「手形」はどうなるのか

建設業法の条文で禁止されているのは、特定建設業者による割引を受けることが困難な手形の交付です。取適法のような「手形払いの一律禁止」とは書き方が違います。

ただし、2026年1月に改訂された建設業法令遵守ガイドライン(第12版)は、取適法で手形が禁止されたことや、振興基準で振込手数料の差し引きが禁止されたことなどを踏まえ、建設業界でも発注者を含めた関係者全体で約束手形の利用廃止、前金払等の充実、振込払い等への移行、支払サイトの短縮に努めるよう求めています。資材業者・建機リース・警備・運送などとの取引でも同様の取組が重要だとしています。

元請の立場では一般に、取引先の支払条件を一覧にして、手形・長いサイトが残っている先から見直すのが現実的です。受ける側としては、「手形は法律で禁止された」と言い切るより、ガイドラインの記載を示して支払条件の見直しを相談するほうが話が通りやすいでしょう。

運営者の経験

運営者がゼネコンに在籍していたころは、下請への支払いは現金と手形が多く、在籍していた会社では最終的に現金払いになりました。建設工事の支払いは取適法ではなく建設業法の世界ですが、業界全体で手形から現金・振込へ移る流れは同じです。

2025年12月12日に全面施行された改正建設業法

建設工事の側でも、ルールは大きく変わっています。2024年6月に公布された改正建設業法は段階的に施行され、2025年12月12日に全面施行されました(国土交通省 中央建設業審議会総会の開催案内、2025年11月28日)。主な内容は次のとおりです。

改正の内容 誰に対するルールか 根拠
中央建設業審議会が「労務費に関する基準」を作成・勧告(2025年12月勧告) 業界全体の目安 第34条第2項
通常必要と認められる材料費・労務費等を著しく下回る見積りの禁止 受注者(見積りを出す側) 第20条第2項
材料費等を著しく下回ることとなる見積りの変更依頼の禁止 注文者(見積りを受ける側) 第20条第6項
通常必要と認められる原価に満たない請負代金での契約の禁止(正当な理由がある場合を除く) 受注者にも拡大(注文者は従来から禁止) 第19条の3第2項
通常必要な期間より著しく短い工期での契約の禁止 受注者にも拡大 第19条の5第2項
材料費・労務費などの内訳を示した見積書の作成 受注者(努力義務) 第20条第1項

※国土交通省「改正建設業法の概要」、「建設業法令遵守ガイドライン(第12版)」、福岡県「建設業法の改正について」より。

「労務費に関する基準」では、適正な労務費を公共工事設計労務単価×適正な歩掛で計算する考え方が示されています(国土交通省「通常必要と認められる労務費を著しく下回るおそれのある取引事例集」2026年1月)。国交省の「建設Gメン」は、取引の実態を調査し、不適正な取引があれば改善を促すとしています。

取適法の「協議に応じない一方的な代金決定の禁止」と似た考え方は、建設業法にもあります。ガイドラインは、資材が高騰しているのに元請が下請からの変更協議に応じず、原価に満たない代金のままにした場合、不当に低い請負代金の禁止(第19条の3第1項)に違反するおそれがあるとしています。

この取引はどちらの法律?事例で見分ける

建設会社の取引は「工事」だけではありません。設計、図面、資材、機械の修理、運送など、取適法の対象になりうる取引が混ざっています。公正取引委員会のQ&Aと国交省のガイドラインをもとに、代表的な例を整理しました。

取引の例 主に適用される法律 ポイント
ゼネコンが専門工事会社に躯体工事を発注 建設業法 建設工事の下請負。取適法は適用されない(Q5)
一次下請が二次下請に内装工事の一部を発注 建設業法 工事の再委託は何次でも建設業法
工事会社が一人親方に工事を発注 建設業法(+フリーランス法の可能性) 相手が従業員を使わない個人なら、フリーランス法の取引条件の明示なども関係する
請け負った工事に使う資材(金物・プレキャスト部材など)を他社に製造させる 取適法(製造委託) 工事に使う資材でも、製造を委託すれば対象になりうる(Q5)
業として販売する建設資材の製造を委託 取適法(製造委託) 資材販売を行う建設会社は特に注意(Q5)
請け負った建物の設計・工事図面の作成を外部に委託 取適法(情報成果物作成委託) CADオペレーターや設計事務所への外注が典型(Q5)。資本金5千万円・1千万円、従業員100人の基準で判断
業として販売した資材を販売先まで運ぶ運送を委託 取適法(特定運送委託) 2026年改正で追加(Q5)
自社の工事現場へ資材を運ぶ運送を委託 判断が必要 自社で使う物品の運送は通常は特定運送委託に当たらないとされる(Q36)。個別に確認
業として請け負ったエレベーター・自動ドアの部品交換などを修理業者に委託 取適法(修理委託・役務提供委託) 建設工事に当たらない修理なら対象(Q6)
同じ設備の改修で、建設工事に当たる作業を委託 建設業法 建設工事に当たる改修は取適法の対象外(Q6)

※公正取引委員会「取適法よくある質問」の該当番号を記載。最終的な判断は個別の事情によります。

見分けるときの最初の問いは、「その作業は建設工事か」です。建設工事なら建設業法、そうでなければ取適法の対象になるかを、取引の種類と両社の規模で確認します。迷う取引は、契約書の作業内容を持って公正取引委員会や弁護士に相談してください。

建設会社が「委託事業者」になる場面に注意

中小建設会社でも、資本金が1千万円を超えていれば、取適法の委託事業者になる可能性があります。たとえば資本金3,000万円の工務店が、資本金500万円の設計事務所に図面作成を外注する場合、情報成果物作成委託の「資本金1千万円超5千万円以下→1千万円以下」の組み合わせに当てはまる可能性があります。

この場合、発注時に内容・代金・支払期日などを直ちに明示し、受領から60日以内に支払い、手形は使えません。「工事の下請と同じ感覚で、竣工後にまとめて支払う」「工事代金の入金を待ってから払う」という運用は、取適法の支払期日のルールに合わない可能性があります。

元請の立場では一般に、工事の注文書・請書は工務や工事部が、図面や資材の外注は設計部や購買が、と担当が分かれています。工事以外の外注先を一覧にして、どの法律の対象になるか一度棚卸しするのが、取りこぼしを防ぐ近道です。

立場別チェックリスト

発注する側(元請・図面や資材を外注する会社)

  • 工事以外の外注(設計・図面、資材の製造、修理、運送)を洗い出し、取適法の対象か確認したか
  • 相手の資本金だけでなく、従業員数も確認しているか(記録が残る方法が望ましい:Q13・Q15)
  • 取適法の対象取引で、手形払いをやめたか。電子記録債権・一括決済方式は、期日までに満額を現金化できる条件か
  • 振込手数料を相手に負担させていないか
  • 価格の見直しを求められたとき、協議に応じ、根拠を説明し、その記録を残しているか
  • 建設工事の下請代金は、建設業法の期日(1か月以内、特定建設業者は50日以内)を守っているか
  • 見積りの変更を求めるとき、労務費に関する基準を大きく下回る金額になっていないか
  • 労務費相当分を現金で払う支払条件になっているか

受ける側(専門工事会社・図面の外注先・資材メーカー)

  • 自社の取引が「建設工事」か「それ以外」かを区別し、どちらの法律で守られるかを把握しているか
  • 見積書に材料費・労務費などの内訳を書いているか(建設業法第20条第1項の努力義務)
  • 自社の見積りが、通常必要な労務費等を著しく下回っていないか(受注者側も禁止)
  • 資材や労務費の上昇があったとき、書面やメールで協議を申し入れ、記録を残しているか
  • 支払期日・支払方法(現金・手形・電子記録債権)・振込手数料の負担を、契約書面で確認しているか
  • 一人親方などの個人に再発注している場合、取引条件を書面で示しているか

一人親方との取引では、インボイス制度の経過措置の変更も関係します。詳しくは一人親方のインボイス2026年10月改正で解説しています。

困ったときの相談窓口

相談先は、取引の種類で変わります。建設工事の取引か、それ以外の取引かを先に整理しておくと、たらい回しになりにくくなります。

窓口 主な対象 連絡方法
国土交通省「駆け込みホットライン」 建設業法違反のおそれ(見積期間不足、労務費の一方的減額、契約書なし、一方的な代金・工期の決定など) 電話 0570-018-240(平日10:00〜12:00、13:30〜17:00)、またはWebフォーム
建設業取引適正化センター 元請・下請間の建設工事の取引トラブルの相談 国土交通省の駆け込みホットラインのページから案内
公正取引委員会 取適法の考え方の相談、取適法違反の申告 Webの相談・申告ページ(オンライン申告可)
取引かけこみ寺(中小企業庁の委託事業) 企業間取引全般。取適法の相談、建設取引の相談、無料弁護士相談、ADR(調停) フリーダイヤル 0120-418-618

※各窓口の公表資料より。受付時間などは変わることがあるため、利用前に公式ページで確認してください。

相談・申告したことを理由に取引を減らされるなどの報復は、取適法(報復措置の禁止)でも建設業法(第24条の5 不利益取扱いの禁止)でも禁止されています。とはいえ、取引関係への影響を心配する方は多いはずです。申告の前に、まず相談窓口や取引かけこみ寺の無料弁護士相談で状況を整理するのも一つの方法です。違反かどうかの最終判断や、相手方への請求は、弁護士に相談してください。

支払いサイトが長いとき:資金繰りの考え方

法律が変わっても、建設工事の支払いは「出来高払い・竣工払い」が中心で、入金までの期間が長いことに変わりはありません。資材や外注費、職人への支払いが先に出ていくため、黒字なのに手元資金が足りないという状態は起こりやすい業種です。

まず確認したいこと

  • 契約上の支払期日が、建設業法の期日(1か月以内・50日以内)に合っているか
  • 前払金や中間の出来高払いを、契約時に相談できないか
  • 工事以外の取引(図面・資材の外注を受けている場合など)で、取適法の60日ルールが使えないか
  • 取引銀行の当座貸越や、公的融資(日本政策金融公庫など)を使える余地はないか

それでも足りないときのファクタリング

入金を待てない場合の選択肢に、請求書(売掛金)や注文書を買い取ってもらうファクタリングがあります。融資ではないため、決算の内容によらず相談できる場合がある一方、手数料が銀行融資の金利より高くなりやすいのがデメリットです。毎月の常用は利益を削るので、「次の入金までのつなぎ」に限って使うのが基本です。

受注が決まった段階の注文書で資金化できる「注文書買取」は、着工前の資材費や外注費の手当てに向いています。

着工前の資材費・外注費を、注文書の段階で手当てしたい方へ

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法人で、手数料や条件を複数社で比べてから決めたい場合は、一括申込のサービスを使う方法もあります。申込先が増えるぶん、各社からの連絡に対応する手間がかかる点は理解しておきましょう。

法人の売掛金で、複数のファクタリング会社の条件を比べたい方へ

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2社間・3社間の違いや手数料の考え方は、建設業のファクタリングで詳しく解説しています。

よくある質問

元請から手形で支払われています。取適法違反として申告できますか

建設工事の下請代金であれば、取適法は適用されないため、取適法違反にはなりません。建設業法では、特定建設業者による割引困難な手形(手形期間60日超など)の交付が禁止されています。該当しそうな場合は、国交省の駆け込みホットラインに相談できます。工事以外の取引(図面作成や資材の製造など)なら、取適法の手形払い禁止の対象になりうるので、公正取引委員会に相談してください。

うちは資本金1,000万円以下の小さな会社です。取適法は関係ありませんか

資本金1,000万円以下なら、多くの場合は受ける側(中小受託事業者)として守られる立場です。ただし、改正で従業員基準が加わったため、資本金が小さくても従業員が300人(役務提供委託等は100人)を超える会社は発注側として対象になる場合があります。取引ごとに、相手との組み合わせで確認してください。

労務費に関する基準を下回ったら、すぐに違反になりますか

基準を少しでも下回ればただちに違反、というものではありません。建設業法で禁止されているのは、通常必要と認められる労務費等を「著しく下回る」見積りや見積り変更依頼です。ガイドラインは、基準などを踏まえて個別に判断するとしています。国交省の「取引事例集」に、違反のおそれがある例がまとまっています。

設計図面の外注先が個人です。取適法とフリーランス法、どちらが適用されますか

相手が従業員を使わない個人の場合、取適法とフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の両方が関係する可能性があります。両方に当てはまる場合の扱いは個別の取引内容で変わりうるため、公正取引委員会の窓口か弁護士に確認してください。少なくとも、発注内容・代金・支払期日を書面やメールで示すことは、どちらの法律でも求められます。

まとめ

  • 取適法は2026年1月1日施行。下請法から名称が変わり、手形払いの禁止、協議に応じない一方的な代金決定の禁止、従業員基準、特定運送委託などが加わった
  • 建設工事の請負・下請負は取適法の対象外。支払期日(1か月・50日)や不当に低い請負代金の禁止など、建設業法で守られる
  • 改正建設業法は2025年12月12日に全面施行。労務費に関する基準が勧告され、著しく低い労務費等での見積り・変更依頼、受注者の原価割れ契約、著しく短い工期での契約が禁止された
  • 建設会社でも、設計・図面の外注、資材の製造委託、建設工事に当たらない修理、資材の販売先への運送は取適法の対象になりうる
  • 相談先は、建設工事なら駆け込みホットライン、それ以外なら公正取引委員会・取引かけこみ寺。最終判断は弁護士に

入金までの資金繰りについては建設業のファクタリング、一人親方との取引で関係するインボイスの改正は一人親方のインボイス2026年10月改正で解説しています。

参考資料

  • 公正取引委員会「取適法・振興法 特設サイト」 Web
  • 公正取引委員会「取適法の概要」 Web
  • 公正取引委員会「委託事業者の義務」 Web
  • 公正取引委員会「委託事業者の禁止行為」 Web
  • 公正取引委員会「取適法よくある質問」 Web
  • 公正取引委員会「取適法リーフレット」 PDF
  • 公正取引委員会「相談・申告・情報提供・手続等窓口」 Web
  • 中小企業庁「下請法・下請振興法の改正法が成立しました」 Web
  • 国土交通省「建設業法・入契法の改正について(令和6年法律第49号)」 Web
  • 国土交通省「改正建設業法の概要」 PDF
  • 国土交通省「中央建設業審議会総会の開催 ~改正建設業法等の全面施行に向けた各施策の審議~」(2025年11月28日) Web
  • 国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」(元請負人と下請負人の関係 第12版、2026年1月改訂) Web
  • 国土交通省「通常必要と認められる労務費を著しく下回るおそれのある取引事例集」(2026年1月) PDF
  • 国土交通省「駆け込みホットライン情報収集フォーム」 Web
  • 福岡県「建設業法の改正について」 Web
  • 公益財団法人全国中小企業振興機関協会「取引かけこみ寺」パンフレット PDF
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この記事を書いた人

Construct Review 運営者・編集責任者。1級土木施工管理技士。ゼネコンで約10年、施工管理に従事。現場で見てきたことをもとに、施工管理技士の受検、転職とキャリア、一人親方と建設会社のお金、現場のDXツールを解説しています。実際に使っていない製品・サービスは、その旨を明記したうえで公開情報をもとに書いています。

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