本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。国土交通省(社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン、働き方自己診断チェックリスト)・厚生労働省(労働基準法の「労働者」の判断基準、労災保険の特別加入)・法令(労働基準法、労働者派遣法、職業安定法、フリーランス・事業者間取引適正化等法)の公表資料をもとに記載しており、報酬の有無によって内容を変えることはありません。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
「一人親方として請負で入っているのに、毎朝の集合時間も、その日の段取りも、全部会社に決められている」。建設業では、こうした働き方が少なくありません。契約書は「請負」でも、中身が「雇用」に近い状態は、偽装請負や「偽装一人親方」と呼ばれ、国土交通省も対策を進めています。
この記事では、1級土木施工管理技士で、ゼネコンの施工管理を約10年経験した運営者が、国土交通省と厚生労働省の公表資料をもとに、どんな働き方が問題になるのか、自分で何を確認すればよいのかを整理します。一人親方として働く職人の方と、一人親方と契約する専門工事会社の経営者の両方に向けた内容です。
この記事の要点
- 労働者かどうかは、契約書の名前ではなく働き方の実態で判断されます(昭和60年の労働基準法研究会報告)
- 国交省は10代・経験3年未満の一人親方や、チェックリストで「社員に近い」と出た人を、雇用へ誘導する方針です
- 確認の軸は6つ:指揮命令・時間の拘束・道具や材料・代わりの人・報酬の決め方・専属性
- 実態が雇用なのに請負扱いだと、労災・社会保険・残業代などで本来の保護を受けられないおそれがあります
- 違法かどうかの最終判断は、労働基準監督署や専門家が個別の事情を見て行います
下のチェック表で働き方を確かめ、事業者として一人親方を続けると決めた方は、契約書・帳簿・確定申告の整え方を税理士に相談できます。
この記事の対象読者
この記事は、次のような方に向けて書いています。
- 一人親方として請負契約で働いているが、実際は会社の社員とほとんど同じ働き方をしている職人
- 「一人親方になってくれ」と会社から言われ、そのまま独立扱いになった方
- 一人親方と契約している、または契約を考えている専門工事会社の経営者
記載内容は2026年10月22日時点の公表資料にもとづきます。制度は見直しが続いているため、最新の情報は参考資料の公式ページで確認してください。
偽装請負・偽装一人親方とは何か(国交省の考え方と対策)
まず言葉を整理します。「偽装請負」は法律の条文にある言葉ではありません。行政の資料や報道で使われる言葉で、契約の形は請負なのに、実態は雇用や労働者派遣になっている状態を指します。
請負と雇用の違い
請負は「仕事の完成」を約束する契約です。どう作業するかは、基本的に請け負った側が自分で決めます。一方、雇用は「会社の指示の下で働くこと」を約束する契約です。何を、いつ、どうやるかを会社が決め、その時間の働きに対して賃金が払われます。
労働基準法第9条は、労働者を「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定めています。この「使用される」かどうかが、請負か雇用かの分かれ目です。
建設業で起きやすい2つの形
建設業の偽装請負は、大きく2つの形に分けて考えると分かりやすくなります。
- 二者の間の問題(偽装一人親方):会社と一人親方の契約は請負だが、実態は会社に雇われた社員と同じ。労働基準法や社会保険の適用を逃れている状態です。
- 三者の間の問題:A社が手配した職人を、B社が自分の社員のように直接指示して働かせる。実態が労働者派遣や労働者供給にあたるおそれがあります。
後で説明するとおり、建設業務は労働者派遣が法律で禁止されています。そのため、建設現場の偽装請負は、他の業界よりも重い問題になりやすいのです。
国交省がいう「規制逃れを目的とした一人親方化」
国土交通省は、法定福利費(会社が負担する社会保険料など)といった労働関係の経費を減らすために、技能者を個人事業主にしてしまう動きを問題視しています。資料ではこれを「規制逃れを目的とした一人親方」と呼んでいます。
令和4年3月30日付の通知では、2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されることにも触れ、請負人として扱うべき人かどうかを、より適切に判断する必要があるとしています。残業の上限を避けるために「社員」を「一人親方」に切り替えれば、それも規制逃れになりうる、ということです。
国交省の対策の中心は下請指導ガイドライン
国交省の対策の中心は「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」です。2022年(令和4年)4月1日適用の改訂で一人親方の項目が強化され、2025年(令和7年)12月10日にも、改正建設業法の全面施行にあわせて一部改訂されています。
雇用への誘導が求められる3つのケース
ガイドラインでは、実態は雇用労働者なのに一人親方として扱われている疑いがある例として、次のものを挙げています。
- 10代の技能者で、一人親方として扱われている人
- 経験年数が3年未満の技能者で、一人親方として扱われている人
- 「働き方自己診断チェックリスト」で、雇用労働者に当てはまる結果が出た人
10代と経験3年未満の技能者は、技能を伸ばす観点から、まず雇用関係に誘導する方針です。ただし、チェックリストで雇用労働者に当たらず、自分の技能と責任で仕事を完成できると確認できれば、元請・直接契約する会社・本人の3者で確認したうえで、一人親方として現場に入ることも認められています。
対策の工程
国交省の説明資料では、関係者ごとの役割が次のように整理されています。
| だれが | 何をするか |
|---|---|
| 一人親方本人 | チェックリストで自分の働き方を確認する。見積書の取り交わし、書面での契約、報酬の計算方法を見直す |
| 一人親方と契約する会社(下請) | 社員は社会保険に加入させる。一人親方との関係も同じチェックリストで見直す |
| 元請企業 | 作業員名簿や建設キャリアアップシステム(CCUS)で入場者を確認する。雇用保険に入っていない一人親方がいれば、再下請負通知書と請負契約書を求めて実態を確認する |
| 業界全体 | 建退共への加入やCCUSへの登録で、一人親方の処遇改善を進める |
また、令和6年6月20日の「一人親方の取組に関する申合せ」では、チェックリストの活用率を約2割から約5割に高める目標や、規制逃れが疑われ改善が見られない場合に元請が現場入場を認めない取扱いを求めることが示されています。
「適正でない一人親方の目安」は未公表
国交省は、令和8年度(2026年度)以降に「適正でない一人親方」の目安を策定することを目指すとしています。資料では、経験年数やCCUSの技能レベルを使うことが検討されています。ただし、2026年10月22日時点で、当サイトでは目安そのものの公表を確認できていません。発表があれば、この記事も更新します。
労働者かどうかは「働き方の実態」で決まる(判断のチェック表)
では、実際にはどうやって「労働者か、一人親方か」を判断するのでしょうか。基本になるのは、厚生労働省が公表している2つの報告です。
- 昭和60年(1985年)12月19日 労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」
- 平成8年(1996年)3月 労働基準法研究会 労働者性検討専門部会報告「建設業手間請け従事者及び芸能関係者に関する労働基準法の『労働者』の判断基準について」
昭和60年の報告は、「指揮監督下の労働」と「報酬の労務対償性(報酬が働いた時間や労務の対価になっているか)」の2つを合わせて「使用従属性」と呼び、これを中心に判断するとしています。厚生労働省のページでは、この基準が現在も使われていると説明されています。
平成8年報告は建設業の「手間請け」に特化
平成8年の報告は、建設業の「手間請け」に絞って、判断の基準をより具体的にしたものです。手間請けとは、工事の種類や面積などから全体の仕事量と報酬額を決め、働いた実績に応じて報酬を払う方式のことです。
この報告には、建設現場ならではの考え方がいくつも書かれています。たとえば次のような点です。
- 働く場所が現場であることは当然なので、それだけでは労働者とはいえない
- 始業・終業の時間が決められていても、他の職種との工程の調整や近所への騒音配慮が必要な場合は、時間を指定されたというだけでは指揮監督を認める材料にならない
- 図面や指示書による指示が、普通の注文者がする程度にとどまるなら、指揮監督を認める材料にならない。工程の調整を元請などが行うことも、業務の性格上当然とされる
- 電動の手持ち工具くらいを自分で持っている程度では、事業者らしさの材料にならない。高価な据え置き型の機械を持ち込む場合は別
- 出来高払いや請求書を出していることだけでは、労働者でないとはいえない
つまり、「現場に毎日行っている」「請求書を出している」といった一つの事実だけでは決まりません。いくつもの要素を合わせて、総合的に判断するのが基本です。
自分で確認する6つのポイント(判断のチェック表)
国交省の「働き方自己診断チェックリスト」は8つの項目でできています。ここでは、その項目と厚労省の判断基準をもとに、確認のポイントを6つにまとめました。左の列に近いほど一人親方(請負)らしく、右の列に近いほど社員(労働者)に近い働き方です。
| 確認ポイント | 一人親方(請負)に近い | 社員(労働者)に近い |
|---|---|---|
| 指揮命令(仕事の受け方・進め方) | 仕事の依頼を断る自由がある。毎日の仕事量や配分、進め方は自分の裁量で決める | 断る自由がない。毎日、会社から仕事量や進め方の具体的な指示を受ける |
| 時間の拘束 | 始業・終業の時間は基本的に自分で決められる | 始業・終業の時間を会社に具体的に決められ、管理されている |
| 道具・材料 | 材料や機械・器具を自分で用意している | 材料や機械・器具は会社が用意している |
| 代替性(代わりの人) | 都合が悪いとき、代わりの人を立てたり、自分の判断で手元(補助者)を使ったりできる | 代わりの人を立てることは認められていない |
| 報酬の決め方 | 工事の完成や出来高に対して払われる。経費を含め、同じ仕事の社員より十分に高い | 日当や時間あたりで決まっている。経費を引くと正社員と同じかそれ以下 |
| 専属性 | 他社の仕事を自由に受けられる | 実質的に他社の仕事を制限され、特定の会社の仕事だけを長く続けている |
国交省のチェックリストは、各項目でAとBのどちらに当てはまるかを選ぶ形式です。Bが多く当てはまる場合は、労働者(社員)に近い働き方になっているかもしれないとして、雇用契約の締結を検討するよう呼びかけています。チェックリストの原本は、国交省のリーフレット「みんなで目指すクリーンな雇用・クリーンな請負の建設業界」に載っています(参考資料にリンクがあります)。
チェックするときの注意点
- 実態のとおりに答える:国交省の運用方法でも「実態に即して記入すること」とされています。契約書に書いてあることではなく、毎日の実際の働き方で答えてください。
- 「断ると次の仕事が来ない」場合:平成8年報告では、断ると次から仕事が来なくなる、工程上断れないといった事情は、それだけで判断せず、契約内容などとあわせて見るとしています。
- 安全上の指導や工程の調整は別に考える:平成8年報告では、元請などが他の職種との工程を調整することは業務の性格上当然で、指揮監督の有無とは関係ないとされています。また国交省のガイドラインは、元請(元方事業者)には労働安全衛生法にもとづく指導の義務があり、一人親方もその指導には従う必要があるとしています。
このチェック表は、自分の働き方を見直すための目安です。違法かどうか、労働者にあたるかどうかの最終判断は、労働基準監督署や弁護士・社会保険労務士などの専門家が、個別の事情を見て行います。この表だけで「違法だ」「問題ない」と決めつけないでください。
実態が雇用なのに請負扱いだと何が起きるか
働き方の実態が労働者なのに、一人親方として扱われていると、本来受けられるはずの保護が抜け落ちるおそれがあります。主なものを表にまとめます。
| 場面 | 労働者にあたる場合の扱い | 一人親方(請負)の扱い |
|---|---|---|
| 仕事中のけが(労災保険) | 会社側の労災保険で補償される。建設現場では原則、元請が下請の労働者も含めて労災保険の事業主になる | 元請の労災保険の対象外。自分で特別加入団体を通じて特別加入する必要がある |
| 社会保険 | 雇用契約にもとづき、健康保険・厚生年金・雇用保険の加入対象になりうる | 国民健康保険(建設国保などを含む)・国民年金に自分で加入。保険料は全額自己負担 |
| 労働時間・残業代 | 時間外労働の上限規制や割増賃金のルールが適用される | 労働基準法の労働時間規制は適用されない |
| 契約の打ち切り | 解雇には労働法のルールがある | 契約条件による。フリーランス法の対象なら、6か月以上の契約の中途解除は原則30日前の予告が必要 |
労災保険の「元請一括」は、労働保険徴収法第8条にもとづく仕組みです。数次の請負で行われる建設の事業は、元請負人だけを事業主とみなします。ただし、守られるのは「労働者」です。国交省のリーフレットでは、契約が雇用契約でなくても、働き方が労働者と同様と判断されれば労働者として扱われ、元請の労災保険が適用されると説明しています。一方で、その判断は労働基準監督署が個別に行うため、一人親方として扱われている人が自分で特別加入していないと、けがをしたときに補償をめぐって不安定な立場になりかねません。特別加入の手続きは一人親方の労災保険の特別加入で詳しく解説しています。
三者の関係では派遣法・職業安定法の問題にもなる
労働者派遣法第4条第1項は、建設業務(土木・建築などの工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体の作業と、その準備の作業)について、労働者派遣事業を行うことを禁止しています。派遣を受ける側も、建設業務に派遣労働者を従事させてはいけません(同条第3項)。
厚生労働省の「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」では、契約が請負の形でも、注文主と労働者の間に指揮命令関係があれば労働者派遣事業にあたり、偽装請負になるとしています。建設業務ではそもそも派遣ができないので、こうした状態は派遣禁止業務への派遣と判断されるおそれがあります。
罰則も定められています。
- 派遣法第4条第1項に違反した者:1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(派遣法第59条)
- 労働者供給事業の禁止(職業安定法第44条)に違反した場合:1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(職業安定法第64条)
さらに派遣法第40条の6には、派遣禁止業務に派遣労働者を従事させた場合や、法の適用を逃れる目的で請負などの名目で契約して派遣を受けた場合に、受け入れた側が労働契約を申し込んだとみなす規定があります(知らず、知らなかったことに過失がない場合を除く)。派遣と正社員の違いは施工管理の派遣と正社員の違いでも整理しています。
専門工事会社の経営者が確認すべきこと
一人親方と契約する側にとっても、偽装請負は大きなリスクです。国交省のガイドラインでは、元請・下請が一人親方と契約する前に、チェックリストで実際の働き方を確認することが求められています。確認の結果が労働者に当てはまる場合は、雇用契約を結び、社会保険に加入させるよう求められています。
契約前に見直したい5つの点
- 年齢と経験年数:10代、経験3年未満の技能者を一人親方として扱っていないか
- 指示の出し方:毎日の作業内容や方法まで、社員と同じように細かく指示していないか
- 報酬の決め方:日当×日数だけで払っていないか。同じ仕事の社員の賃金に、労災保険の特別加入の費用や資機材などの必要経費を加えた請負代金になっているか
- 書面の契約:工事の前に見積書を取り交わし、書面で請負契約を結んでいるか
- 社員との混同:雇用契約も社会保険もないのに、会社のヘルメットや制服、名刺を渡して、表向きは自社の社員として扱っていないか(ガイドラインでは、これも適正とは言えないとされています)
ガイドラインには、請負の形でも、実態が指揮監督の下での労務提供であれば、建設工事の完成を目的とした請負契約には当たらないという注意も書かれています。また、改善が見られない場合に元請が現場入場を認めない取扱いを求める申合せもあるため、「書類さえ整えればよい」という考え方は通用しにくくなっています。
安全衛生の保護措置にも注意
厚生労働省によると、2023年(令和5年)4月1日施行の労働安全衛生規則等の改正で、事業者は、作業を請け負わせる一人親方等や、同じ場所で作業する労働者以外の人にも、一定の保護措置を講じることが義務付けられています。一人親方だから安全対策は本人任せ、という扱いはできません。
取引のルール全般は取適法と建設業の関係も参考にしてください。個別の契約が問題ないかは、社会保険労務士や弁護士に確認することをおすすめします。
実態が雇用に近いなら、社員として働ける会社を探す
チェック表で右側にたくさん当てはまった方は、まず今の会社と話し合うのが第一歩です。国交省の運用方法でも、働き方が労働者に当てはまる場合、一人親方は契約先の会社に雇用契約などの手続きを求め、応じてもらえない場合は関係行政機関に相談するとされています。働き方が労働者にあたるか分からない場合は、労働基準監督署の相談窓口でも相談できます。
そのうえで、「社員として雇ってくれる会社で、保険や残業代のある働き方をしたい」と考えるなら、建設業に特化した転職支援に相談する方法もあります。職人の経験を評価して社員として採用する会社や、資格取得を支援する会社を探すときは、社会保険の加入や残業代の扱いなど、求人の条件を相談しながら比べると安心です。
転職を急ぐ必要はありません。今の会社で雇用に切り替えてもらえるか、他社の条件はどうかを比べてから決めても遅くありません。
社員として働ける建設会社の求人を、条件を比べながら探してみませんか。
一人親方として続けるなら整えておくこと
チェック表で左側が多く、自分の技能と責任で仕事を請け負っている方は、一人親方として続ける道があります。その場合も、次の点を整えておくと、自分を守ることにつながります。
フリーランス法で守られる場合がある
2024年11月1日に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」では、従業員を使わずに事業者から仕事を受ける人が「特定受託事業者」として保護されます。厚生労働省のQ&Aでも、建設会社から住宅建設の業務の一部を受託する一人親方が例として挙げられています。
| 発注側の主な義務 | 対象となる発注者・条件 |
|---|---|
| 仕事の内容や報酬額などを書面・メールなどで明示する | 一人親方に業務を委託するすべての事業者 |
| 受け取った日から60日以内に報酬を払う | 従業員を使う発注事業者 |
| 受領拒否・減額・返品などの禁止 | 従業員を使う発注事業者で、委託期間が1か月以上 |
| 中途解除の原則30日前の予告 | 従業員を使う発注事業者で、委託期間が6か月以上 |
注意したいのは、働き方の実態が労働者と認められる場合は、フリーランス法ではなく労働基準法などが適用される点です。また、従業員を雇っている一人親方や、個人の施主から直接請け負う工事は、フリーランス法の対象外です。建設業では、建設業法でも書面での契約や不当に低い請負代金の禁止などが定められています。
労災・許可・税務の備え
- 労災保険の特別加入:労働者を使わずに建設の事業を行う一人親方は、特別加入団体を通じて加入できます。労働者を使う日が年間100日に満たない場合も対象です。
- 建設業許可:請け負う工事の金額によっては許可が必要です。一人親方に建設業許可は必要かで確認してください。
- インボイスと帳簿:取引先との関係を続けるうえで、インボイスへの対応や帳簿の整備は欠かせません。一人親方のインボイス2026年10月改正もあわせて読んでください。
- 法人化:売上が増えてきたら、法人化も選択肢です。一人親方の法人化のタイミングで判断の目安を解説しています。
見積書・契約書・請求書を残しておくことは、税務のためだけでなく、「自分は事業者として請け負っている」という実態を示す材料にもなります。
よくある質問
一人親方の労災保険に特別加入していれば、偽装請負にはならないのですか?
特別加入しているからといって、偽装請負にあたらないとは言えません。特別加入しているかどうかと、働き方の実態が労働者かどうかは別の問題です。労働者にあたるかは、指揮命令や時間の拘束などの実態で判断されます。
日当で払われていると、すぐに労働者になりますか?
日当だけで決まるわけではありません。ただ、厚労省の判断基準では、時間や日を単位にした報酬は「使用従属性を補強する」材料とされています。他の項目とあわせて総合的に判断されます。
元請の職長から毎朝指示を受けています。これは指揮命令ですか?
工程の調整や、労働安全衛生法にもとづく安全上の指導は、それだけで指揮命令の根拠になるとは考えにくいものです。一方で、指示書などで作業の具体的な内容や方法まで指示されている場合は、平成8年報告でも指揮監督関係を認める重要な材料とされています。判断に迷う場合は、労働基準監督署に相談してください。
会社に「一人親方になってほしい」と言われました。断ってもいいですか?
雇用契約から請負契約に切り替えるには、本人との合意が必要です。また、合意して請負契約になっても、働き方の実態が労働者なら、労働者として扱われます。国交省は、10代や経験3年未満の技能者はまず雇用関係に誘導する方針を示しています。切り替える前に、チェック表で切り替え後の働き方を確認し、収入や保険の違いを比べてから判断しましょう。
「適正でない一人親方の目安」はいつ決まりますか?
国交省は令和8年度(2026年度)以降の策定を目指すとしています。2026年10月22日時点で、当サイトでは目安の公表を確認できていません。
まとめ
- 偽装請負は、契約は請負なのに実態が雇用や派遣になっている状態のこと
- 労働者かどうかは契約書の名前ではなく、働き方の実態で総合的に判断される
- 確認の軸は、指揮命令・時間の拘束・道具や材料・代わりの人・報酬の決め方・専属性の6つ
- 国交省は10代・経験3年未満の一人親方などを雇用へ誘導する方針で、目安の策定も予定している
- 建設業務は派遣が禁止されており、三者の関係での偽装請負は派遣法・職業安定法の問題にもなりうる
- 違法かどうかの最終判断は、労働基準監督署や専門家に確認する
一人親方として続けるなら、労災保険の特別加入やインボイスへの対応を整えておきましょう。取引のルールは取適法と建設業の関係で確認できます。
個人事業として一人親方を続ける方へ:見積書・契約書・帳簿をきちんと残すことは、税務だけでなく事業者としての実態を示すことにもつながります。経費の扱いや確定申告に不安があれば、建設業に詳しい税理士を無料で紹介してもらう方法があります。
参考資料
- 国土交通省「建設業における社会保険加入対策について」(社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン)
- 国土交通省「社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの改訂等について」(令和4年3月30日)
- 国土交通省「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン 新旧対照表」(令和7年12月10日一部改訂)
- 国土交通省リーフレット「みんなで目指すクリーンな雇用・クリーンな請負の建設業界」(働き方自己診断チェックリスト)
- 国土交通省「働き方自己診断チェックリストの運用方法」
- 国土交通省「国土交通省における規制逃れを目的とした一人親方対策について」
- CCUS処遇改善推進協議会「一人親方の取組に関する申合せ」(令和6年6月20日)
- 国土交通省「建設業の一人親方問題に関する検討会」
- 厚生労働省「労働基準法における『労働者』とは」
- 厚生労働省 労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」(昭和60年12月19日)
- 厚生労働省「建設業手間請け従事者及び芸能関係者に関する労働基準法の『労働者』の判断基準について」(平成8年3月)
- 厚生労働省「労働者派遣事業を行うことができない業務」
- 厚生労働省・都道府県労働局「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」
- e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」
- e-Gov法令検索「職業安定法」
- e-Gov法令検索「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」
- 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」
- 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法の概要」
- 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法 Q&A」
- 厚生労働省「労災保険への特別加入」
- 厚生労働省「特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)特別加入者の範囲」
- 厚生労働省「一人親方等の安全衛生対策について」
