建設業のファクタリング|注文書で着工前に資金化する方法と手数料の落とし穴【3社比較】

夕方の建設会社の事務所で、経営者が注文書とノートパソコンの資金繰り表を見比べているイメージ

本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。掲載しているサービスの評価は、各社の公開情報と運営者の現場経験に基づいて記載しており、報酬の有無によって内容を変えることはありません。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。

「工事は取れたのに、材料費と外注費の支払いが先に来て口座が持たない」。建設業の資金繰りの悩みは、ほとんどがこの入金と支払いのタイミングのズレから生まれます。そのズレを埋める手段のひとつがファクタリングです。

ただし、ファクタリングは便利な反面、使い方を間違えると資金繰りをかえって悪くする道具でもあります。この記事では、元ゼネコン現場監督の運営者が、建設業でファクタリングを使う前に知っておくべきこと、注文書と請求書の違い、手数料の本当の重さ、そして建設業で使いやすい3社の条件を、公開情報をもとに整理します。

目次

この記事の対象読者

この記事は、中小の工務店・専門工事会社の経営者、または経理を任されている方に向けて書いています。特に次のような状況の方を想定しています。

  • 大きめの工事を受注したが、着工前後の材料費・外注費の支払いが重い
  • 元請からの入金が月末締め翌々月払いなど、支払いサイトが長い
  • 銀行融資の審査を待つ時間がない、または一度断られた

なお、運営者はファクタリング会社を実際に利用したことはありません。各社の条件は2026年9月時点の公式サイトの公開情報をもとに記載しており、最新の条件は必ず各社で確認してください。

先に結論:状況別の選び方

あなたの状況 検討する候補
受注は決まったが、着工前の材料費・外注費が足りない(法人・100万円以上) BESTPAY(注文書ファクタリング)
請求済みの代金を早く受け取りたい。小口から、または個人事業主(一人親方)として使いたい ベストファクター
現場に出ていて時間がない。オンラインだけで手続きを済ませたい PAYTODAY
法人で、複数社の手数料を一度に比べてから決めたい ¥Today(法人専用の一括申し込み)
急ぎではない。数週間待てる ファクタリングより先に、元請との条件交渉や銀行・公的融資を検討(後述)

どれを使う場合でも、手数料を「年率」に直して工事の粗利と比べることだけは必ずやってください。理由は後半で説明します。

急いでいる方へ:申し込む前に、まず無料の見積もりで手数料と入金日を確認してください。条件を見てから断っても構いません。

法人・注文書の段階なら BESTPAY請求書・個人事業主なら ベストファクター

法人で複数社をまとめて比べたい方は、下の「¥Today」の項目も参考にしてください。

建設業で資金繰りが詰まりやすい3つの理由

1. 支払いが先、入金が後という構造

建設工事は、材料の手配、協力会社への外注費、職人の人件費が工事の進行に合わせて先に出ていきます。一方、代金は出来高や完成・引き渡しを基準に、締め日から数十日後に入ってくるのが一般的です。受注額が大きい工事ほど、この「立て替え期間」の金額が膨らむのが建設業の特徴です。

2. 手形からの移行期にある

政府は約束手形の利用を2026年度末(2027年3月末)を目途に廃止する方向で進めており、支払いサイトも原則60日以内とする運用が求められています。長い目で見れば受注側には追い風ですが、移行期は支払い条件が取引先ごとにバラバラになりやすく、資金繰り表を組み直す必要が出てきます。

なお、2026年1月に下請法が改正され「中小受託取引適正化法(取適法)」になり、手形払いの禁止などが盛り込まれましたが、建設工事の請負そのものは建設業法の守備範囲で、取適法の対象は設計図・資材の製造委託など成果物の委託が中心です。自社の取引がどちらに当たるかは、契約の中身で判断する必要があります。

3. 工事が増えるほど運転資金が足りなくなる

意外に思われるかもしれませんが、資金繰りが苦しくなるのは受注が減ったときだけではありません。受注が一気に増えたときこそ、立て替えが重なって現金が足りなくなります。いわゆる「黒字倒産」が建設業で起きやすいのはこのためです。

ファクタリングの仕組み:借入ではなく「売掛債権の売却」

ファクタリングは、取引先からまだ入金されていない代金(売掛債権)を、ファクタリング会社に手数料を差し引いた金額で買い取ってもらう取引です。お金を借りるわけではないので、決算書上は借入金が増えません。

2社間と3社間の違い

方式 取引の当事者 元請・取引先への通知 手数料の傾向 入金スピード
2社間ファクタリング 自社とファクタリング会社 不要(取引先に知られにくい) 高め 速い(即日〜数日)
3社間ファクタリング 自社・ファクタリング会社・取引先 必要(取引先の承諾が要る) 低め 取引先の手続き次第で遅め

建設業では「元請に資金繰りの事情を知られたくない」という理由で2社間が選ばれることが多いですが、手数料は3社間より高くなるのが一般的です。元請との関係が良好で事情を説明できるなら、3社間も選択肢に入れて見積もりを取る価値があります。

注文書ファクタリングと請求書ファクタリング

建設業で特に知っておきたいのが、注文書(発注書)の段階で資金化できる「注文書ファクタリング」です。通常の請求書ファクタリングは工事が進んで請求書を発行した後でないと使えませんが、注文書ファクタリングなら受注が確定した時点で、着工前の材料費・外注費に充てられます。

種類 使えるタイミング 向いている場面 注意点
注文書ファクタリング 受注確定(注文書発行)後、着工前から 大型工事の着工前に材料費・外注費をまかないたい 工事が完了しないリスクを業者が負うため、請求書より審査が厳しく手数料も高めになりやすい
請求書ファクタリング 請求書発行後(出来高・完成後) 請求済みだが入金が翌々月など先の代金を早めたい 請求前の段階では使えない

使う前に必ず計算してほしい「手数料の年率換算」

ファクタリングの手数料は「5%」「10%」のように1回あたりの割合で示されます。数字だけ見ると小さく見えますが、何日分の前倒しに対して払う手数料なのかで考えると重さが変わります。

債権額 手数料率 前倒しできる日数 手数料額 年率に換算すると
500万円 5% 30日 25万円 約61%
500万円 10% 60日 50万円 約61%
500万円 3% 60日 15万円 約18%

年率換算は「手数料率 ÷ 前倒し日数 × 365日」の概算です。銀行の事業性融資と比べると、ファクタリングはかなり高いコストの資金であることがわかります。だからこそ、次のように使い分けるのが基本です。

  • 使ってよい場面:利益の出る工事の着工資金が一時的に足りない、融資の実行までのつなぎが必要、など「一回きりのズレ」を埋めるとき
  • 避けたい場面:毎月の赤字を埋めるために繰り返し使う。手数料分だけ毎月利益が削られ、抜け出せなくなります

工事の粗利が10%前後なら、手数料10%のファクタリングを使った時点でその工事の利益はほぼ消えます。「その工事の粗利」と「手数料」を並べて比べてから申し込んでください。

ファクタリングより先に検討したい選択肢

コストの低い順に検討するのが鉄則です。時間に余裕があるなら、ファクタリングは最後の手段にしたほうが手元に残るお金は多くなります。

  1. 元請・発注者との支払い条件の交渉:出来高払いの回数を増やす、前払金を設定してもらう。手形廃止・支払いサイト短縮の流れは、交渉の材料になります
  2. 取引銀行・信用金庫の短期融資やつなぎ融資:工事代金を返済原資にした融資は建設業では一般的です
  3. 日本政策金融公庫などの公的融資:審査に時間はかかりますが、金利は民間のファクタリングより大幅に低い水準です
  4. ファクタリング(3社間 → 2社間の順):上記が間に合わない、または使えないときの選択肢

また、そもそも原価や入金予定を工事ごとに把握できていないと、どの工事でいくら足りなくなるかが事前にわかりません。資金繰りを根本から改善したい場合は、建設業向け原価管理SaaSの比較もあわせて参考にしてください。

融資を通しやすくするために:建設業に慣れた税理士を味方にしておく

銀行や日本政策金融公庫の融資は、決算書と資金繰り表がきちんと整っているかで通りやすさが大きく変わります。顧問税理士がいない、あるいは今の税理士が完成工事高や未成工事支出金といった建設業特有の会計に慣れていない場合は、ファクタリングに手を出す前に相談相手を見直す価値があります。

税理士紹介ネットワークは、地域や業種などの希望を伝えると条件に合う税理士を紹介してもらえるサービスです。紹介の利用は無料で、費用が発生するのは紹介された税理士と顧問契約を結んだ後の報酬だけです。法人の税理士変更や、個人事業からの法人化の相談にも対応しています。

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建設業で使いやすいファクタリング3社の比較

ここからは、建設業での利用を想定し、注文書に対応している会社・小口から使える会社・オンラインで完結する会社という観点で3社を取り上げます。

サービス 対象の書類 手数料(公表値) 買取額 入金まで 方式 利用できる事業者
BESTPAY 注文書 5%〜 100万円〜1億円(売掛先1社あたり) 最短翌日〜3営業日程度 2社間 法人のみ
ベストファクター 請求書 2%〜 30万円〜1億円(売掛先1社あたり) 最短即日〜3営業日程度 2社間・3社間 法人・個人事業主
PAYTODAY 請求書 1〜9.5% 10万円〜上限なし 最短30分 2社間 法人・個人事業主・フリーランス

いずれも2026年9月時点の各社公式サイトの記載です。「〜%」は下限の数字で、実際の手数料は審査結果(取引先の信用力、取引実績、金額など)で決まります。必ず見積もりの段階で手数料の総額を確認し、上の年率換算で比べてください。

なお、BESTPAYとベストファクターはどちらも株式会社アレシアが運営するサービスです。注文書で使うか請求書で使うかによって窓口が分かれている、と理解しておくとよいでしょう。

注文書ファクタリングの審査のポイントや、元請との契約で確認すべき条項は注文書ファクタリングの解説で、個人事業主(一人親方)の方が使える条件は一人親方のファクタリング解説で詳しくまとめています。

BESTPAY:注文書の段階で着工資金をつくりたい法人向け

BESTPAYは、注文書(発注書)を対象にしたファクタリングです。公式サイトでは、注文書が発行された時点で利用でき、着工前の段階で資金化できることを特徴としています。必要書類は注文書、通帳3ヶ月分(表紙付き)、本査定申込書とされています。

  • 向いている会社:大型工事を受注したが、着工前の材料費・外注費の支払いが先に来る法人
  • 注意点:対象は法人のみで、買取額は100万円からです。小規模な工事や個人事業主の方は、下のベストファクターやPAYTODAYが候補になります

注文書の段階で資金化できるか、手数料はいくらかを確認する

BESTPAYの公式サイトで見積もりを申し込む

ベストファクター:請求書を小口から、個人事業主も使いたい場合

ベストファクターは、請求書を対象にしたファクタリングです。公式サイトでは、利用者のなかで建設業が最も多い業種であることが示されています。2社間・3社間の両方に対応しているため、元請に事情を説明できる場合は3社間で手数料を抑える相談もできます。

  • 向いている会社:請求済みの工事代金の入金が先で、30万円程度の小口から資金化したい法人・一人親方を含む個人事業主
  • 注意点:審査時には身分証明書、請求書、入出金通帳、取引先との契約関連書類、契約時には納税証明書・印鑑証明書・登記簿謄本(法人)などが必要とされています。書類を先に揃えておくとスムーズです

請求書の買取額と手数料を無料で確認する

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PAYTODAY:オンラインで完結させたい、手数料の上限を知っておきたい場合

PAYTODAYは、AIによる審査を使ったオンライン完結型のファクタリングです。公式サイトでは手数料を1〜9.5%と上限つきで公表しており、最短30分での入金をうたっています。来店・面談が不要なので、現場に出ていて事務所に戻る時間がない経営者でも手続きを進めやすいのが特徴です。

  • 向いている会社:請求書の金額が10万円程度の小口から、スマホ・PCだけで手続きを済ませたい法人・個人事業主
  • 注意点:必要書類として、本人確認書類、請求書に加え、直近6ヶ月以上の入出金明細と昨年度の決算書が挙げられています(創業1年未満は月次試算表で対応)。方式は2社間のみです

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法人なら一度に複数社の条件を比べる方法も:¥Today

¥Todayは、法人専用のファクタリング一括申し込みサービスです。請求書や注文書の情報を一度入力すると、複数のファクタリング会社にまとめて審査を申し込め、提示された手数料や入金スピードを比べて選べる仕組みです。利用は無料で、手続きはオンラインで完結します。

  • 向いている会社:1社ずつ見積もりを取る時間がなく、複数社の条件を並べて比べたい法人
  • 注意点:個人事業主は対象外です。複数社から連絡が来る可能性があるので、比べる基準(手数料の総額と、償還請求権がないこと)を先に決めておくと迷いません

法人向け:複数社の手数料を一度に比べる

¥Todayで一括申し込みする

危ない業者を避けるためのチェックリスト

金融庁は、ファクタリングを装った実質的な貸付けに注意を呼びかけています。契約の形式がファクタリングでも、中身が貸付けと同じなら貸金業に該当するおそれがあるとされています。申し込む前に、次の点を確認してください。

  • 買い戻しや弁済の義務がないか:取引先が支払わなかったときに、自社が代わりに払う・買い戻す契約になっていないか(いわゆる償還請求権。これがあると実質的に借入と同じです)
  • 買取額が債権額に比べて著しく低くないか:見積もりの手数料が相場から大きく外れていないか、複数社で比べる
  • 手数料以外の費用が契約書に明記されているか:事務手数料・登記費用などが後から上乗せされないか
  • 「給与ファクタリング」ではないか:個人の給料を対象にした取引は貸金業に該当するとされており、利用は厳禁です
  • 会社の所在地・運営会社名が確認できるか:公式サイトに運営会社の情報がない業者は避ける

少しでも不安があれば、契約前に顧問税理士や弁護士に契約書を見てもらうのが確実です。

元ゼネコン現場監督から見た、資金繰りの現実

ゼネコンの現場にいると、協力会社の資金繰りの苦しさは、支払い条件や出来高の締め方をめぐるやり取りの中で見えてきます。元請の立場から言えるのは、「支払い条件の相談は、してもらったほうが助かる」ということです。資金が詰まって工期中に職人さんが集まらなくなるほうが、元請にとってはるかに大きな損失だからです。

ファクタリングを検討する前に、まずは元請の担当者に出来高の締めや支払いのタイミングを相談してみてください。そのうえで間に合わないときに、手数料を年率で計算し、工事の粗利と比べてから使う。この順番を守れば、ファクタリングは建設会社にとって心強い道具になります。

まとめ

  • 建設業の資金繰りの悩みは、支払いが先・入金が後という構造から生まれる
  • ファクタリングは借入ではなく売掛債権の売却。注文書の段階で使える「注文書ファクタリング」は建設業と相性が良い
  • 手数料は年率換算すると高コスト。一回きりのズレを埋める用途に限定し、工事の粗利と比べてから使う
  • 先に支払い条件の交渉、銀行・公的融資を検討する
  • 申し込むなら複数社で見積もりを取り、償還請求権の有無と手数料総額を必ず確認する

資金繰りとあわせて設備投資の負担を軽くしたい場合は、建設業が使えるIT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)の解説も参考にしてください。

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この記事を書いた人

Construct Review 運営者・編集責任者。1級土木施工管理技士。ゼネコンで約10年、施工管理に従事。現場で見てきたことをもとに、施工管理技士の受検、転職とキャリア、一人親方と建設会社のお金、現場のDXツールを解説しています。実際に使っていない製品・サービスは、その旨を明記したうえで公開情報をもとに書いています。

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