リード文
「施工管理システムを導入したいが、ANDPAD・Photoruction・KANNAのどれが自社に合うのか分からない」——これは会社の規模や現場の体制によって答えが変わる質問です。この記事では、3社の料金体系・機能・対象企業規模・独立レビューサイトでの評判を、公開情報をもとに正直に比較します。経営者・現場監督・情シス担当、それぞれの立場で気になるポイントも整理しているので、社内で検討資料として使ってもらえる内容を目指しました。
なお、価格については3社とも詳細を公開しておらず「要問い合わせ」となっている項目が多いです。分からないことを分かったふりで書くと導入後に「話が違う」となりかねないので、この記事では不明な点は不明と明記しています。
個別製品の比較の前に、そもそも建設SaaSをどんな軸で選べばいいか整理したい方は、建設SaaSの選び方完全ガイド|現場目線でわかる失敗しない7つの比較軸も参考にしてください。
この記事の比較対象
- ANDPAD(アンドパッド) — 運営: 株式会社アンドパッド。中小工務店から大手ゼネコンまで幅広く導入されている、施工管理SaaSの代表格
- Photoruction(フォトラクション) — 運営: 株式会社フォトラクション。大規模現場・BIM連携・建設BPOに強みを持つ、大手ゼネコン採用実績のあるサービス
- KANNA(カンナ) — 運営: 株式会社アルダグラム。ITリテラシーを問わない使いやすさと、内装・電気・塗装などの専門工事店・協力会社への浸透に強みを持つサービス
比較表(早見表)
まず結論から見たい方向けに、公開情報の範囲で分かる比較軸をまとめました。「不明」となっている項目は、各社に問い合わせないと分からない部分です。
| 比較項目 | ANDPAD | Photoruction | KANNA |
|---|---|---|---|
| 運営会社 | 株式会社アンドパッド | 株式会社フォトラクション | 株式会社アルダグラム |
| 料金体系 | 初期費用10万円(ITreview調べ)。月額はプランにより異なり要問い合わせ | 非公開(要問い合わせ)。初期費用0円 | 非公開(要問い合わせ)。初期費用0円との情報あり(要確認) |
| 無料トライアル | あり | あり(全機能利用可) | あり(公式LPで14日間と案内) |
| 主な対象企業規模 | 中小〜大手まで幅広い | 大手ゼネコンでの採用実績あり(鹿島建設など) | 中小規模・専門工事店/協力会社が中心 |
| 導入実績の目安 | 265,000社以上・690,000ユーザー以上(2026年5月時点、二次情報) | 国内20万件超のプロジェクトで利用(二次情報) | 導入企業5,000社超(2022年5月、公式発表)→3年で2万社(インタビュー記事、時期の目安) |
| 協力会社アカウント | 詳細不明(ライセンスは50単位ロット販売との口コミ指摘あり) | 詳細不明 | 無制限(複数の比較メディアで一致) |
| BIM対応 | 記載なし(要確認) | あり | 記載なし(要確認) |
| 電子小黒板 | あり | あり | あり(改ざん検知機能付き) |
| 多言語対応 | 記載なし(要確認) | 記載なし(要確認) | あり(100か国以上に対応との記載) |
| サポート体制 | 電話・チャット、平日10-19時。専任のカスタマーサクセス/サポートチームあり(公式) | 電話・メール、平日10-19時。導入時の操作説明会、月次の利用状況・セキュリティレポートあり(公式) | 情報なし(要確認) |
| 導入までの期間 | 記載なし(要確認) | 記載なし(要確認、ただしプランにより導入支援の手厚さが変わる旨の記載あり) | 記載なし(要確認) |
| ITreview評価 | 4.0 / 5.0(レビュー11件) | 3.9 / 5.0(レビュー2件) | 4.0 / 5.0(レビュー1件) |
注記: ITreviewのレビュー件数は3社とも一桁〜十数件と少なく、Amazonのレビューのように何百件もの評価が集まっているわけではありません。星の数だけで優劣を判断せず、あくまで参考情報として見てください。また、導入社数・ユーザー数は各社発表または比較メディア経由の二次情報であり、一次資料(決算資料やプレスリリース原文)までは今回確認できていません。
各製品の詳細
ANDPAD(アンドパッド)
特徴
現場の写真・資料管理や電子小黒板、工程表、チャットといった「現場で使う機能」に加えて、検査・原価管理・営業支援まで業務を横断してカバーしているのが特徴です。現場と事務所の両方からのデジタル化を掲げており、スマホファーストのUIとオフライン対応で、通信環境が不安定な現場でも使えるよう設計されています。API連携やアプリマーケットプレイスも用意されており、既存の基幹システムと組み合わせて使う企業も多いようです。
料金
公式サイトでは具体的な金額が公開されておらず、月額費用は「要問い合わせ」です。ただしITreview掲載の情報によると初期費用は10万円とのことです(公式ページには記載がないため、契約前に金額が現在も変わっていないか確認してください)。無料トライアルは用意されています。なお口コミでは「ライセンスが50単位ロットで販売されるため、細かい人数調整がしづらい」という指摘も見られました(この点は一次ソースで確認できていないため、契約前に必ず営業担当に確認してください)。
サポート体制
公式サイトによると、電話(03-6831-4551)とチャットでの問い合わせに対応しており、対応時間は平日10:00〜19:00(祝日・年末年始除く)。年間1万回以上の説明会を実施しているほか、カスタマーサクセス・カスタマーサポートの専任チームが導入後の運用まで伴走する体制を敷いているとのことです。
こんな会社に向いている
– 現場管理だけでなく、原価管理や営業まで一つのシステムでまとめて管理したい会社
– 中小工務店から大手ゼネコンまで、幅広い規模の会社が使っている実績を重視したい会社
– 既存システムとAPI連携させたい情シス担当がいる会社
向いていないケース(正直に書きます)
– チャット通知が多いという口コミがあり、通知管理を丁寧にしないと現場が「見るべき情報」を見失う可能性があります
– 高齢の職人などデジタル機器に不慣れなメンバーが多い現場では、導入時の教育コストを見込んでおく必要があります
– 「テンプレート通りの運用しかできない」という声もあり、自社独自の書式・フローにこだわりが強い会社は事前にカスタマイズ範囲を確認したほうがよいでしょう
Photoruction(フォトラクション)
特徴
工事写真管理・電子小黒板・図面管理・工程表・検査機能・BIM対応まで含む「Build」と、協力会社連携や労務安全書類を扱う「Site」の2本柱に加え、AIと人力を組み合わせた「建設BPO」サービスを展開しているのが特徴です。検査チェックリスト作成が90%削減できたというユーザー事例もあり、書類作成の自動化・外部委託まで踏み込んでいる点は他2社と毛色が異なります。大手ゼネコンである鹿島建設が2022年8月30日付の公式プレスリリースで導入を発表しており、電子図面・書類管理システムとして旧システムから1,317万ファイル・14TBのデータを移行したと公表されています。背景には2024年4月施行の建設業向け時間外労働規制への対応があったとのことです。
料金
初期費用は0円ですが、月額料金は利用者数に応じた変動制+オプション料金で、具体的な金額は「お問い合わせください」となっています。データ容量による費用の増減はなく、年間費用を固定できる点は事前に予算を組みやすいポイントです。契約は1年単位で、契約期間中の解約返金には対応していない点、支払いが銀行振込のみである点は、契約前に確認しておきたいところです。
サポート体制
公式サイトによると、電話(03-6774-7642)・メールでの問い合わせに対応、対応時間は平日10:00〜19:00。導入初期には管理者・利用者向けの操作説明会を実施(プランによっては有料)、導入後も月次の利用状況レポート・セキュリティアクセスレポートを提供するなど、他2社と比べて運用フェーズの手厚さを打ち出しているのが特徴です。建設業界出身のスタッフが多く在籍している点も公式サイトで案内されています。
こんな会社に向いている
– 大規模現場やBIMを活用したプロジェクトが多い会社
– 検査書類・台帳作成など、書類まわりの工数を自動化やBPOで圧縮したい会社
– 大手ゼネコンでの採用実績を重視したい会社
向いていないケース(正直に書きます)
– ITreviewのレビューはまだ2件と少なく、口コミベースでの評判はANDPADほど蓄積されていません。判断材料としては心もとない部分があります
– 口コミでは「工事指示書機能が弱い」「スマホ・タブレットでの入力欄が小さい」という指摘があり、モバイル中心の運用を考えている場合は事前にデモで確認したほうがよいでしょう
– 契約が1年単位・途中解約の返金なしという条件のため、小規模に試してから拡大したい会社には無料トライアルでの見極めが特に重要になります
KANNA(カンナ)
特徴
複数現場をボードやカレンダーで一元管理できる案件管理、タスク・チャット、写真や図面のリアルタイム共有、ガントチャート形式の工程表、改ざん検知機能付きの電子小黒板などを備えています。最大の特徴は「ITに不慣れなスタッフでもすぐ使いこなせる」ことを重視したUX設計と、協力会社アカウントが無制限である点です。2020年7月のローンチから3年で導入企業2万社に達しており、ユーザーの約8割が建設業、その中でも内装・電気・塗装などの専門工事店が中心という調査結果があります。三井デザインテックや東急Re・デザインなど、大手での採用例も一部あります。なお運営元アルダグラムの2022年5月31日付プレスリリースでは、当時ローンチから約18ヶ月で導入企業5,000社超と発表されており、そこから2万社まで伸びてきた成長カーブが見て取れます。
料金
公式・比較サイトいずれを確認しても、具体的な金額は「要問い合わせ」で統一されています。一部の比較メディアの記事内には格安の月額単価(1ユーザーあたり数十円台)を示す記載も見つかりましたが、他の複数の比較サイトの記載と矛盾しており、桁として現実的なSaaS価格とも考えにくいため、この記事では採用していません(詳細は本記事末尾のチェックリストを参照)。初期費用0円という情報は複数の比較メディアで一致していますが、こちらも一次ソースでは確認できていません。無料トライアルは公式ランディングページで14日間と案内されています。
こんな会社に向いている
– 内装・電気・塗装など、専門工事を担う中小の協力会社を多く抱える元請け企業
– ITリテラシーにばらつきがある現場メンバーが多く、操作のシンプルさを最優先したい会社
– 協力会社のアカウント数を気にせず使いたい会社
向いていないケース(正直に書きます)
– ITreviewのレビューはまだ1件のみで、星の数(4.0)は参考程度に留めるべきです
– 「通信環境が悪い場所でのアップロードに時間がかかる」「管理画面の表示項目が多い」という指摘があり、電波の弱い現場が多い会社は事前確認をおすすめします
– 大規模ゼネコンでの導入実績はANDPAD・Photoructionほど厚くないため、大手特有の複雑な承認フローや原価管理まで求める場合は機能面を個別に確認する必要があります
選び方のポイント
経営者目線(コスト・投資対効果)
3社とも価格が非公開のため、まず資料請求・見積もり依頼をして「自社の人数・現場数でいくらになるか」を横並びで比較することが最初の一歩になります。Photoructionは年間費用を固定しやすい料金体系、KANNAは協力会社アカウントが無制限という情報があり、協力会社を多く抱える会社ほどKANNAの料金メリットが出やすい可能性があります(ただし料金自体が非公開なので、最終的には見積もり比較が必須です)。また、導入社数や資金調達状況は、サービスの継続性を見る上での参考情報になります。KANNAの運営元アルダグラムは2022年5月31日付の公式プレスリリースで、MonotaRO・JAFCOなどを引受先とするシリーズAの第三者割当増資で約20億円(累計調達額は約21.4億円)を調達したと発表しています。中小のSaaSベンダーの場合、資金調達の実績はサービスが今後も継続・成長していくかを見る一つの目安になります。
現場監督目線(使い勝手・現場での運用)
現場目線で重要なのは「電波が悪い現場でも支障なく使えるか」「ITが苦手なベテラン職人でも迷わず操作できるか」の2点です。口コミを見る限り、KANNAは使いやすさを前面に出している一方で通信環境への依存の指摘があり、ANDPADは高齢層への教育コストの指摘があり、Photoructionはモバイル入力のUIに関する指摘があります。いずれも決定的な欠陥ではなく「気をつけるポイント」ですが、無料トライアルの期間中に実際の現場で数日使ってみて、感触を確かめることを強くおすすめします。
正直に言うと、私自身はANDPAD・Photoruction・KANNAのいずれも実際の現場で使った経験はありません。ただ、ゼネコンで10年、施工管理をやってきた立場から、この手のツールが現場に入るとどこでつまずきやすいかは経験的に想像がつきます。以下は「使ってみた感想」ではなく、現場を回してきた実務者としての一般論として読んでください。
まず一番大変だったのは、立会検査のたびに書く黒板です。工事名・工種・測定値などを毎回手書きするのは地味に時間を食いますし、同じ現場で似たような項目を何度も書き直すこともザラでした。ここは一度テンプレートを作っておけば使い回せるはずで、施工管理システムを選ぶときは「黒板をテンプレート化できるか」「過去の黒板データを複製・流用できるか」は地味に効いてくるポイントだと思います。
次に通信環境です。地下や躯体内など電波が弱い閉鎖的な空間で、アプリがフリーズして動かなくなるのは現場あるあるです。せっかく写真を撮って報告書に添付しようとしても、通信が悪くて固まってしまうと逆にストレスになり、結局紙に戻ってしまう現場も少なくありません。オフラインでも入力・撮影ができて、電波が戻ったタイミングで自動同期してくれるかどうかは、導入前に真っ先に確認すべき点です。
教育コストも見落とせません。協力会社(下請け)の職人さんの中には年配の方も多く、新しいアプリの操作を一から覚えてもらうのは簡単ではありません。画面が複雑だったり、ボタンの数が多いツールは、現場に浸透する前に「面倒だから紙でいい」と使われなくなるリスクがあります。
結局のところ、現場目線で施工管理システムを評価するなら、機能の多さよりも「どれだけ手軽に入力できて、どれだけ手軽に出力・台帳作成までたどり着けるか」に尽きると思います。ANDPAD・Photoruction・KANNAそれぞれの機能一覧を見比べるだけでなく、無料トライアル期間中に、電波の弱いエリアや年配の職人さんがいる現場で実際に触ってもらい、上記のポイントで違和感がないか確認することを強くおすすめします。
情シス目線(連携・セキュリティ・導入のしやすさ)
情シス担当が見るべきは、既存の基幹システムとのAPI連携、セキュリティ機能(IP制限・二要素認証など)、サポート体制、そして導入までのリードタイムです。ANDPADはAPI連携とアプリマーケットプレイスを整備しており、既存システムとの接続を想定しやすい構成です。Photoructionはエンタープライズプランでセキュリティ強化(IP制限・監査ログ)を用意しています。KANNAもエンタープライズプランで二要素認証・IP制限に対応しているとの記載があります。ANDPADについては上位プランのセキュリティ機能の詳細を今回のリサーチでは確認できませんでした。
サポート体制についてはANDPAD・Photoructionともに公式サイトで「電話・平日10-19時対応」を確認できましたが、KANNAは今回のリサーチでは公式な記載を見つけられず「要確認」のままです。導入までのリードタイム(見積もりから稼働開始までの期間)は3社とも公開情報からは分からなかったため、資料請求時に必ず質問することをおすすめします。3社とも料金・プラン体系が非公開のため、必要なセキュリティ要件を先に洗い出し、それを満たすプランがいくらになるのかを問い合わせ段階で確認することが重要です。
まとめ
3社は似たカテゴリのサービスに見えますが、公開情報を整理すると次のような傾向が見えてきます。
- ANDPAD: 中小〜大手まで幅広い実績があり、現場管理から原価・営業まで一気通貫でカバーしたい会社向け
- Photoruction: 大手ゼネコンでの採用実績があり、BIM連携や書類作成のBPO化まで踏み込みたい会社向け
- KANNA: 内装・電気・塗装などの専門工事店・協力会社を多く抱え、ITリテラシーを問わない使いやすさを最優先したい会社向け
ただし、3社とも料金は非公開で、独立レビューサイトのレビュー件数もまだ多くありません。この記事はあくまで「比較検討の出発点」として使い、最終判断の前には必ず各社に資料請求・見積もり依頼をして、無料トライアルで実際の現場運用を試すことをおすすめします。気になる製品が決まったら、まずは無料トライアルの申し込みから始めてみてください。


コメント
コメント一覧 (4件)
[…] 施工管理システムの具体的な比較は、ANDPAD・Photoruction・KANNA徹底比較で詳しく解説しています。見積もり・積算SaaS、原価管理SaaSの比較記事は今後公開予定です。 […]
[…] 本記事は主に、工事別の収支・粗利を経営判断に活かしたい経営者・経営層と、日々の原価集計や工事台帳の管理を担う原価管理担当者・経理担当者を想定読者としています。施工管理全体の比較についてはANDPAD・Photoruction・KANNA徹底比較|施工管理システムはどれを選ぶべきかをあわせてご覧ください。 […]
[…] 本記事は主に、見積もり・積算業務の効率化やIT投資の意思決定を行う経営者・経営層と、日々見積書・積算書を作成する積算担当者・実務担当者を想定読者としています。施工管理全体の比較についてはANDPAD・Photoruction・KANNA徹底比較|施工管理システムはどれを選ぶべきかをあわせてご覧ください。 […]
[…] すでに公開している「ANDPAD・Photoruction・KANNA徹底比較」では3製品を横並びで比較しましたが、本記事ではANDPAD1製品に絞り、機能・料金の考え方・向き不向きをより深く掘り下げます。 […]