従業員10名以下の工務店が建設SaaSを導入した結果|規模別導入ガイド

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この記事の対象読者

この記事は、従業員10名以下の工務店・リフォーム会社・専門工事業の経営者の方に向けて書いています。「建設SaaSは大手ゼネコンや中堅企業向けの話で、うちのような小さな会社には関係ない」と感じている方や、「導入したいが、教える人手も時間もない」という不安をお持ちの方を主な読者として想定しています。あわせて、経営者を兼ねる現場監督の方にも参考になる内容です。

なぜ「10名以下」という規模で考える必要があるのか

本サイトではこれまで、施工管理・見積もり積算・原価管理・安全労務管理・BIM/CADの各カテゴリで、業界内で導入実績の多いSaaSを比較してきました。ただし、これらの比較記事で取り上げた製品の多くは、情報システム担当者がいる中堅・大手企業を主な想定読者にしている面があります。従業員10名以下の工務店・専門工事業では、そもそも専任のIT担当者がいないケースがほとんどで、「多機能だが使いこなせない」「価格が高くて費用対効果が見えない」という理由で導入を諦めてしまうことも少なくありません。この記事では、そうした小規模な会社が実際にSaaSを導入した場合にどのような変化が起きやすいのかを、公開されている導入事例をもとに整理します。

本記事の範囲についての注記

本記事で紹介する事例は、SaaSベンダーの公式サイトや製品比較メディアで公開されている導入事例をもとに、Construct Review編集部が要約・再構成したものです。Ochi自身がこれらの会社に直接取材したものではなく、また同じ業種・同じ課題を抱える会社であっても、導入後の効果には個社差があります。あくまで「10名前後の会社がSaaSを導入した場合に起きやすい典型的な変化」を知るための参考情報としてご覧ください。

10名以下の工務店・専門工事業でよくある3つの課題

  • 報告書・見積書などの事務作業が現場のあとに集中する:日中は現場に出ているため、報告書や見積書の作成が夜間や月末にまとめて発生しやすい。
  • 案件情報が特定の担当者の頭の中にしかない:会社の規模が小さいほど、案件の進捗や過去のやり取りが属人化しやすく、担当者が不在だと対応できない。
  • 人を増やす余力がない:事務作業量が増えても、採用難や人件費の問題から人員を増やせず、既存メンバーの残業でしのぐことになりやすい。

実際の事例に見る変化①:空調設備の修理事業を営む会社のケース

空調設備の修理・メンテナンスをワンストップで手がけるある会社では、事業拡大にともなって事務作業(特に報告書作成)の量が増加し、月末に報告書がまとめて溜まることで、別の現場の内容が混ざってしまうといった問題が起きていました。見積書の作成や案件管理も煩雑になり、非効率な業務が積み重なっている状態だったといいます。

この会社は、報告書・見積もり・顧客管理の機能がそろい、価格面でも導入しやすいクラウド型の施工管理SaaS「サクミル」を導入。人を増やさずに事務作業の時間を減らすことを目的とし、結果として残業時間を半分程度まで減らすことができたと紹介されています。

実際の事例に見る変化②:創業75年の設備工事会社のケース

建築設備工事を手がける、創業75年という社歴の長いある会社では、現場監督が直行直帰することが多く、事務所との情報共有が難しいという課題がありました。長年紙の書類で管理してきたため書類が膨大になり、現場情報を確認するにも、出先から事務所に電話して書類を探してもらう必要があったといいます。

複数のサービスを比較検討した結果、価格の高さがネックになっていた他社サービスではなく、シンプルな操作性と費用対効果を決め手に同じく「サクミル」を導入。従業員が使いこなせそうなシンプルさと、コストを抑えつつ時間をかけて現場に浸透させていけることが評価されたと紹介されています。

2つの事例から見える共通パターン

観点 導入前 導入後に期待できる変化
報告書・見積書の作成 現場のあとにまとめて作成、月末に集中 スマホ・タブレットから現場で入力、事務所に戻る手間が減る
情報共有 担当者しか案件状況を把握していない、電話での確認が必要 クラウド上で誰でも進捗を確認できる
人員体制 事務作業量の増加に人員採用が追いつかない 既存人員のまま残業時間の削減を狙える
導入の決め手 他社サービスは高機能だが価格がネック 価格の分かりやすさとシンプルな操作性を優先

2つの事例に共通しているのは、「多機能さ」よりも「価格の分かりやすさ」と「現場の従業員が抵抗なく使えるシンプルさ」を優先して製品を選んでいる点です。10名前後の会社では、導入後に操作方法を教える時間も限られるため、この視点は特に重要になります。

経営者目線:導入前に確認すべき3つのポイント

  • 月額費用が人数に対して明確か:利用人数が増えたときに料金がどう変わるか、契約前に必ず確認する。
  • 専任の教育担当者がいなくても定着させられるか:操作研修やサポート体制(電話・チャットなど)が整っているかを確認する。
  • 紙の書類・Excelからの移行に時間をかけられるか:一気に全業務を切り替えるのではなく、まず一部の業務(報告書だけ、見積書だけ等)から試す余地があるかを見る。

現場監督目線から見た変化

現場を経験した立場から付け加えると、こうした小規模な会社ほど「現場監督=営業=事務担当」を一人で兼ねているケースが多く、事務作業の負担が減ることが直接的に現場に出る時間や休息時間の確保につながります。逆に言えば、機能が多すぎて設定や運用ルール作りに時間がかかるようなSaaSは、10名以下の会社では宝の持ち腐れになりやすいという点は意識しておくべきです。

Ochi視点コメント

ゼネコンの現場を経験した立場から見ると、大手が使うような多機能・高機能のSaaSを中小企業がそのまま真似て導入しようとすると、機能を使いこなせずに形骸化してしまうケースをよく見聞きします。10名以下の会社であれば、まずは「報告書作成の手間を減らす」「見積書の作成をスピードアップする」など、自社が今いちばん困っている業務を1つに絞り、そこに特化して使いやすいツールから試すのが現実的だと思います。なお、本記事で紹介した事例はいずれも公開情報をもとにしたものであり、Ochi自身が直接取材・検証したものではない点はあらかじめご了承ください。

導入時の確認ポイント(チェックリスト)

  • □ 月額費用は自社の人数規模で無理なく払える金額か
  • □ 無料トライアル期間が用意されているか
  • □ スマホ・タブレットから現場で入力できる機能があるか
  • □ 電話・チャットなど、操作に迷ったときのサポート窓口があるか
  • □ 一部の業務からスモールスタートできるか
  • □ IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)の対象ツールになっているか

IT導入補助金の対象要件や申請の流れについては、別記事「IT導入補助金2026年版|建設業が使える申請条件と流れ」で詳しく解説しています。

まとめ

従業員10名以下の工務店・専門工事業がSaaSを導入する際は、多機能さよりも「価格の分かりやすさ」「シンプルな操作性」「スモールスタートのしやすさ」を優先することが、定着の鍵になります。本記事で紹介した事例のように、まずは事務作業の中でも特に負担の大きい業務(報告書・見積書の作成など)から効率化を試みることをおすすめします。

本記事は各社公式サイト・製品比較メディア等で公開されている情報をもとに作成しています。最新の料金・機能については、必ず各社公式サイトでご確認ください。

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