BIM/CADツールの比較|導入で変わる設計・施工の連携

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この記事の対象読者

この記事は、主に設計・施工管理担当者の方に向けて書いています。「意匠設計にBIMを導入したいが、どのソフトを選べばいいかわからない」「設備図面の作成・調整に時間がかかりすぎている」「ゼネコン標準に合わせてRevitを使う必要が出てきた」といった悩みをお持ちの方を想定しています。あわせて、BIM導入のコスト対効果を判断する立場にある経営者・DX推進担当者の方にも参考になる内容です。

なぜ今、BIM/CADの比較が必要なのか

国土交通省が主導する「BIM/CIM原則適用」の流れを受けて、公共工事を中心にBIM活用を求められる場面が増えています。あわせて、2025年4月から建築確認手続きにおける図書電子化・電子申請の対応が進み、意匠設計から施工図まで一貫してBIMデータを扱えるかどうかが、業務効率だけでなく受注機会にも影響し始めています。

一方で「BIM/CAD」とひとくくりに言っても、意匠設計に特化したツール、構造・設備まで含む総合型ツール、設備施工図に特化したツールでは、選ぶべき製品も価格帯もまったく異なります。この記事では、性格の異なる3つの代表的なツールを取り上げ、自社がどの領域でBIMを使いたいのかを整理する材料を提供します。

本記事の範囲についての注記

今回比較する3製品は、対象工程が明確に異なります。GLOOBE Architectは意匠設計に特化した純国産BIM、Revitは意匠・構造・設備を横断的に扱える国際標準の総合BIM、Rebroは空調・衛生・電気などの設備施工図に特化したBIM対応CADです。3製品を横並びで「どれが一番優れているか」を比較するものではなく、「自社がBIMをどの工程・どの職種で使いたいか」によって適切な選択肢が変わる、という前提で読んでいただくのが実態に近い比較になります。なお、Ochi自身はこの3製品を実際の設計・施工図作成業務で使用した経験はなく、以下の内容は各社公式サイト等の公開情報を基にした比較である点をあらかじめお断りしておきます。

BIM/CADツールを選ぶ3つの軸

1. 対象工程・専門領域

意匠設計を効率化したいのか、構造・設備まで含めた総合的な調整(BIM協調設計)をしたいのか、設備施工図の作成・干渉チェックを効率化したいのかによって、必要なツールはまったく異なります。まず自社の業務のどこにボトルネックがあるかを明確にすることが出発点になります。

2. ライセンス形態とコスト構造

BIM/CADツールは施工管理SaaSと違い、買い切り(永続ライセンス+保守)とサブスクリプション(年額・月額課金)の2つの提供形態が併存しているのが特徴です。長期利用が前提であれば買い切り、拠点数や利用人数が変動しやすければサブスクリプションが有利になるなど、利用年数を踏まえた試算が必要です。

3. 他ソフト・他職種との連携性

意匠・構造・設備それぞれ別のソフトで設計する場合、IFC形式などによるBIMデータの相互連携ができるかどうかが、手戻りや二重入力を防ぐ鍵になります。また、施工管理SaaS(ANDPADなど)との連携有無も、現場への展開のしやすさに直結します。

早見比較表

ツール名 提供会社 主な対象工程 価格体系(税込) 特徴
GLOOBE Architect 福井コンピュータアーキテクト株式会社 意匠設計(建築BIM) 購入プラン 858,000円〜(Basic)/サブスクリプション 198,000円/年〜(Basic、税別価格から換算) 日本の建築確認申請・法規チェックに対応した純国産BIM。中小規模の設計事務所・工務店での導入実績が多い
Revit Autodesk(オートデスク) 意匠・構造・設備を横断する総合BIM サブスクリプション制(要見積もり)。参考:Revit 2027 定価 517,000円/年(1年契約・新規) 世界的に採用実績が多い国際標準BIM。大手ゼネコン・組織設計事務所の標準ツールとして採用されるケースが多く、多職種連携に強い
Rebro(レブロ) 株式会社NYKシステムズ 設備施工図(空調・衛生・電気) 購入プラン 935,000円〜(電気版)/1,100,000円〜(統合版)、保守 66,000円/年〜。レンタルプラン(統合版)月額16,500円 設備施工図の作成・干渉チェックに特化したBIM対応CAD。RevitやArchicadとのBIMデータ連携、ANDPAD連携などの機能を持つ

※料金は2026年9月時点で各社公式サイト・販売代理店サイト等から確認できた情報を基にした目安です。特にRevitは個別見積もりが基本のため、実際の金額は必ず各社・販売代理店への問い合わせでご確認ください。

GLOOBE Architectの詳細

GLOOBE Architectは、福井コンピュータアーキテクト株式会社が開発・提供する建築BIMソフトです。同社は建築・土木分野の国内CADベンダーとして長年の実績を持ち、GLOOBEシリーズは日本の建築確認申請や省エネ法対応など、国内特有の法規チェックに強い点が特徴として挙げられています。

購入プランとサブスクリプションプランの両方が用意されており、実装設計オプションや法規チェックオプションなど、業務範囲に応じて機能を追加できる構成になっています。中小規模の設計事務所や工務店での導入事例が多く、はじめてBIMを導入する意匠設計部門にとって選択肢に入りやすいツールです。

Revitの詳細

Revitは、Autodesk(オートデスク)が提供するBIMソフトで、意匠・構造・設備の各分野を横断的に扱える総合型BIMとして世界的に広く採用されています。国内でも大手ゼネコンや組織設計事務所を中心に標準ツールとして指定されるケースが多く、元請・協力会社間でBIMデータをやり取りする際の「共通言語」的な位置づけになりつつあります。

価格はサブスクリプション制で、Autodeskの方針により基本的に個別見積もりとなっており、公開されている定価情報も参考値にとどまります。機能を絞った廉価版のRevit LTも用意されていますが、多職種連携やアドオン活用を前提とする場合は上位版のRevitが選ばれる傾向にあります。導入検討時は、必要なライセンス数と利用期間を明確にしたうえで、販売代理店に見積もりを依頼するのが確実です。

Rebro(レブロ)の詳細

Rebroは、株式会社NYKシステムズが開発する建築設備専用のBIM対応CADです。空調・衛生・電気の各設備について、ひとつの3Dモデルから平面図・断面図・詳細図など各種図面を生成でき、モデルを編集すると関連する図面にリアルタイムに反映される点が特徴とされています。

電気設備のみに対応する「電気版」と、空調・衛生・電気を統合的に扱える「統合版」があり、業務範囲の拡大に応じて後からアップグレードすることも可能です。RevitやArchicadなど意匠系BIMソフトとのBIMデータ連携、ANDPADとの連携機能なども備えており、意匠・構造側でRevitを使いつつ、設備側の施工図作成をRebroで効率化する、という組み合わせでの利用も想定されています。

経営者目線で見るポイント

経営者にとっての論点は、BIM導入を「意匠設計の効率化」「元請・大手ゼネコン案件への対応」「設備施工図の内製化」のどこに投資するかという優先順位づけです。いずれの製品も初期投資が数十万円〜100万円規模になり、施工管理SaaSと比べて金額の桁が一段大きい点には注意が必要です。IT導入補助金の対象になるケースもあるため、導入前に対象要件を確認することをおすすめします。また、BIM/CADは操作習得にも一定の教育コストがかかるため、ソフト費用だけでなく研修・OJTの計画も含めて投資判断することが重要です。

設計・施工管理担当者目線で見るポイント

実務担当者にとって重要なのは、日常業務のどの部分がボトルネックになっているかを起点に製品を選ぶことです。確認申請図書の作成に時間がかかっているなら国内法規対応に強いGLOOBE、元請から特定のBIMソフトの使用を指定されているならその指定に合わせたRevit、設備図面の干渉チェックや修正対応に追われているならRebro、というように、現在困っている業務に対応する製品から検討するのが現実的です。あわせて、既存のCADデータや過去図面をどこまで引き継げるかも、乗り換えの手間を左右する重要な確認ポイントです。

Ochi視点コメント

ゼネコンの現場を10年経験した立場から言うと、BIMは「現場に来る図面」という形で間接的に関わることがほとんどで、設計側のソフト選定そのものに深く関わった経験はありませんでした。ただ、意匠・構造・設備がそれぞれ別のソフトで描かれた図面同士の食い違い(納まりの不整合)が現場で発覚し、手戻りになる場面は何度も見てきました。その意味で、意匠側と設備側でBIMデータの連携が取れているかどうかは、現場に降りてきた後の手戻りの多さに直結する、実務者としてかなり気になるポイントです。なお、今回紹介した3製品については、私自身が実際に設計・施工図作成の業務で使用した経験はないため、上記はあくまで公開情報からの比較である点はご承知おきください。

導入時に確認しておきたいポイント

  • 自社(または元請)が求めているのは意匠設計の効率化か、総合的なBIM協調設計か、設備施工図の効率化かを明確にしてから製品を絞り込む
  • 購入プランとサブスクリプションプランのどちらが自社の利用年数・利用人数に合うか、複数年での総コストを試算して比較する
  • 既存のCADデータ(2D図面・過去BIMデータ)をどこまで引き継げるか、移行時の作業量を事前に確認する
  • IT導入補助金など公的補助制度の対象になるかどうかを、導入前に確認する
  • 操作習得にかかる教育期間・研修体制を、ソフト費用とあわせて導入計画に織り込む

まとめ

BIM/CADツールの選び方は、他の建設SaaSのように「機能と価格で横並び比較する」というより、「自社がBIMをどの工程・どの職種で使いたいか」を先に定めることが出発点になります。GLOOBE Architectは国内法規対応に強い意匠設計特化型、Revitは大手案件や多職種連携に強い国際標準の総合型、Rebroは設備施工図の効率化に強い専業型と、それぞれ異なる強みを持っています。自社の業務のボトルネックと、元請・取引先から求められる仕様の両方を踏まえて選定することをおすすめします。

本記事は各社の公式サイト・販売代理店サイト等の公開情報をもとに作成しています。最新の料金・機能については、必ず各社公式サイトまたは販売代理店でご確認ください。

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