1級土木施工管理技士の経験記述の書き方|2024年度からの2テーマ形式と、試験までの準備の手順

現場事務所で施工写真と工程表を広げ、経験記述を書く土木の現場代理人のイメージ

本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。試験の形式は国土交通省・全国建設研修センターの公表資料と資格学校の公開している総評をもとに記載しており、報酬の有無によって内容を変えることはありません。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。

1級土木施工管理技士の第二次検定は、合格率が4割前後の試験です。その中で必ず書かなければならないのが、問題1の経験記述。2024年度から形式が変わり、1つのテーマを長く書く試験から、2つのテーマを短く的確に書く試験になりました。

この記事では、1級土木施工管理技士で、ゼネコンの施工管理を約10年経験した運営者が、新しい形式の中身、書く工事の選び方、工事概要と本文の組み立て方、試験までの準備の手順を整理します。

この記事の要点

  • 2024年度から、問題1は指定された2テーマを同じ工事で両方書く形。2024年度は安全管理と施工計画、2025年度は品質管理と環境(初出題)
  • 1テーマは「現場状況・技術的課題・検討項目」と「対応処置とその評価」の2欄。2024年度は各8行、計32行
  • 例文の丸暗記は通用しにくい。国土交通省は「自身の経験に基づかない解答を防ぐ」方向で設問を見直している
  • 準備の中心は文章力ではなく材料集め。1件の工事で、品質・安全・工程・施工計画・環境の5テーマ分の出来事をそろえる

来年度に受検する予定の方は、経験記述の題材にする工事を今のうちに決めておくと準備が早く進みます。書いた記述を第三者に見てもらう手段として、添削を受けられる講座の内容と料金も確認しておきましょう。

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なお、2026年度(令和8年度)の第二次検定は10月4日に実施されます。この記事は実施前の2026年10月3日時点で書いており、2026年度の出題内容は反映していません(合格発表は2027年1月8日)。

目次

この記事の対象読者

1級土木施工管理技術検定の第二次検定を、来年以降に受ける予定の方を想定しています。第一次検定に合格して実務経験を積んでいる方、今年の第二次で手応えがなく次に備えたい方にも役立つように書いています。

1級土木の第二次検定の全体像

項目 内容
試験時間 13時15分〜16時00分(2時間45分)、記述式
問題の構成 全11問。問題1〜3は必須、問題4〜7から2問、問題8〜11から2問を選び、計7問を解答(2024〜2026年度)
合格基準 得点の60%以上
合格率 2024年度41.2%、2025年度38.9%(2025年度は受検者24,667人、合格者9,603人)

問題1は必須問題です。一部の資格学校は「問題1が無記載または著しく不適切だと、それ以降の問題が採点されない」と説明しています(公式の文言は未確認)。経験記述で崩れると、ほかの問題の出来に関係なく合格が遠のくと考えてください。

2024年度から経験記述はどう変わったか

年度 テーマ 記述の構成(資格学校の総評による)
2023年度まで 1テーマ(2023年度は品質管理) 「現場状況と技術的課題」7行、「検討した項目と検討理由・内容」10行、「対応処置とその評価」10行の計27行
2024年度 設問1:安全管理/設問2:施工計画(31年ぶりの出題) 各テーマ「現場状況・技術的課題・検討項目」8行+「対応処置とその評価」8行。2テーマで計32行
2025年度 設問1:品質管理/設問2:環境(環境対策。初めての出題) 「技術的課題と検討した項目」と「対応処置とその評価」の2区画。行数は未確認
2026年度 設問1:安全管理(労働者の災害防止に限定)/設問2:工程管理(2012年度以来、14年ぶり) 各テーマ「技術的課題と検討した項目」8行+「対応処置とその評価」8行。2テーマで計32行

2024年度の設問を資格学校の解説から要約すると、次のような聞き方でした。

  • 設問1(安全管理):(1)具体的な現場状況と、特に留意した安全管理上の技術的課題、その解決のために検討した項目/(2)検討した項目の対応処置とその評価
  • 設問2(施工計画):(1)施工計画の立案に先立って行った現場の事前調査で判明した施工上の課題/(2)その課題について施工計画に反映した対応処置とその評価

変化のポイントは3つです。テーマが2つになったこと、1テーマあたりの行数が減ったこと、そして施工計画や環境のように、これまで定番ではなかったテーマが出ていることです。国土交通省は2024年度の改正にあたり、第二次検定では「自身の経験に基づかない解答を防ぐ観点から、設問の見直し」を行うと公表しています。品質・安全・工程の3つだけを準備して例文を覚える、というやり方は年々通用しにくくなっています。

2026年度(10月4日実施)の出題

試験問題(全国建設研修センターが公開)を見ると、2026年度の問題1は次の2テーマでした。

  • 設問1(安全管理):「労働者の災害防止に向けた」取り組みに限定。さらに「交通誘導員の配置だけを書いた解答は除く」と明記されました。(1)現場状況と安全管理上の技術的課題、検討した項目/(2)対応処置とその評価
  • 設問2(工程管理):(1)施工にあたって特に留意した工程管理上の技術的課題と、検討した項目/(2)対応処置とその評価

資格学校TACの講評は、問題1の難易度を「やや難しい」としています。理由は2つで、安全管理が労働者の災害に絞られたため第三者災害(通行車両・歩行者)で準備していた人は書き直しを迫られたこと、工程管理が2012年度以来の出題だったことです。問題2〜11は過去問に似た問題が多く、全体では例年並みという評価でした。

来年以降に向けた教訓:同じ安全管理でも「誰の災害か」で書ける内容が変わります。安全管理は労働者災害(墜落、重機との接触、土砂崩壊など)と第三者災害の両方で材料を持ち、工程管理も「何が遅れの原因で、何をして取り戻したか」を数字(日数・台数・班数)で書けるように準備しておくと、条件が付いても書き直せます。

書く工事の選び方

経験記述は、選んだ工事1件でほぼ決まります。次の条件で選んでください。

  • 土木工事であること:受検の手引の実務経験の基準では、ビル・マンション等の建築工事、造園工事、機械器具設置工事、電気設備の工事などは土木の実務経験として認められていません。経験記述でもこれらは避けます。
  • 自分が施工管理に関わった工事であること:認められる立場は、工事の請負者・発注者・工事監理の受託者の従業員として、施工の管理・指導監督・工事監理を行った経験です。作業員としての経験や、設計・測量・現場事務だけの経験は対象外です。
  • 5テーマ分の材料がある工事であること:品質・安全・工程・施工計画・環境のどれを聞かれても、具体的な出来事を出せる工事を選びます。現場の条件が厳しかった工事(交通量の多い道路沿い、河川内、市街地での近接施工、軟弱地盤など)ほど書きやすくなります。

資格学校の中には、工期2か月以上・ある程度の規模の公共工事を選ぶよう勧めているところもあります。これは公式の要件ではありませんが、材料の多さという意味では理にかなっています。

工事概要の書き方

工事概要では、工事名、工事現場における施工管理上のあなたの立場、工事の内容(発注者名、工事場所、工期、主な工種、施工量)を書きます。

  • 工事名:契約書類どおりの正式名称。「道路工事」のような一般名詞だけにしない
  • 発注者名:事務所名まで正確に。2級の問題文の注意書きでは、所属会社が二次下請なら一次下請業者名、発注機関の所属なら所属機関名と示されています。1級でも同じ考え方で書くのが無難です
  • 工期・施工量:年月日、数量と単位まで。本文に出てくる時期や数量と食い違わせない
  • あなたの立場:現場代理人、主任技術者、監理技術者、工事主任など、実際の立場を書く

数字は記憶ではなく、契約書類や施工計画書で確認してから書いてください。工事概要と本文の食い違いは、「本当にその工事を経験したのか」を疑われる一番の原因です。

本文の組み立て方:5段の流れで考える

どのテーマでも、次の流れで考えると組み立てられます。

  1. 現場状況:その現場だけの条件(地盤、地下水、交通、近接構造物、気象、周辺住民、工期の制約など)
  2. 技術的課題:その条件のせいで、何を確保する必要があったか(品質・安全・工程・環境のどれか)
  3. 検討項目:課題を解決するために、何と何を比べたか、何を確かめたか
  4. 対応処置:実際に何をしたか。方法・数量・頻度・管理値など、数字を入れる
  5. 評価:その結果どうなったか。うまくいった点だけでなく、次の現場に生かす点も書ける

2024年度以降は1欄8行前後しかないため、5段を全部丁寧に書く余裕はありません。「現場状況」と「技術的課題」を1〜2文で言い切り、「対応処置」に行数を使うのが基本です。

テーマ別に集めておく材料

テーマ 現場で集める材料の例
品質管理 品質を落としやすかった条件(気温・降雨・材料・地盤)、管理した項目と頻度、試験・検査の結果と管理値
安全管理 事故が起きやすかった条件(重機と作業員の動線、第三者の通行、高所・開口部、近接作業、地下埋設物)、立入禁止や誘導の方法、作業手順の変更点
工程管理 工程に響いた条件(天候、交通規制の時間帯、関係機関との協議、材料の納期、他工事との取り合い)、工程の組み替え、短縮できた日数
施工計画 着工前の事前調査(現地踏査、地下埋設物、地盤、搬入路、周辺環境)で分かった条件と、それを受けて計画に反映した内容(工法、仮設、施工順序、機械の選定)
環境(環境対策・環境保全) 騒音・振動・粉じん・濁水・建設副産物などの問題が起きやすかった条件、周辺への配慮として実施した対策と、その測定・確認の方法

2つのテーマを同じ工事で書くため、テーマごとに別の出来事を用意しておくことが大切です。解説サイトの中には、2024年度の設問2について「設問1と同じ内容は認められない」と紹介しているものもあります。同じ対策を2回書くことにならないよう、材料は5テーマ分そろえておいてください。

文章の骨組み(穴埋めで使える型)

現場状況・技術的課題・検討項目
本工事は、[現場の条件]の箇所で[工種・数量]を施工する工事であった。[条件]により[起こりそうだった問題]が懸念されたため、[確保すべきこと]を技術的課題とした。このため、[検討項目A]と[検討項目B]について検討した。

対応処置とその評価
[検討項目A]については、[具体的な処置。数字を入れる]とした。[検討項目B]については、[具体的な処置]を実施した。その結果、[どうなったか]。[次に生かす点]については今後の課題である。

型は材料を並べる順番を決めるためのものです。中身は必ず自分の工事の言葉と数字で埋めてください。資格学校の多くが、例文の丸写しは採点者に分かり、最悪の場合は失格になりうると注意しています。

減点・不合格につながりやすい書き方

経験記述の採点基準は公表されていませんが、資格学校や解説サイトが共通して挙げているのは次の点です。

  • 一般論で終わっている:「安全に気をつけた」「品質を確保した」だけで、その現場固有の条件や数字がない
  • 課題と対策が対応していない:課題で挙げたことと、対応処置で書いたことがずれている
  • 工事概要と本文が矛盾している:工期の外の出来事、工種にない作業、施工量と合わない数字
  • テーマがずれている:品質を問われているのに工程の話になっている
  • 表記の乱れ:誤字脱字、用語の誤り、「です・ます」と「である」の混在、読みにくい字
  • 空欄が多い:解説サイトの中には、解答欄の8割以上は埋めるよう勧めるものもあります(公式の基準ではありません)

試験までの準備の手順

1級土木は、第一次検定(例年7月上旬)と第二次検定(例年10月上旬)の間が3か月ほどしかありません。2026年度は第一次の合格発表が8月13日、第二次が10月4日でした。第一次の合格発表を待ってから経験記述を書き始めると、材料集めだけで時間が尽きます。

  1. 第一次の勉強と並行して(春〜初夏):書く工事を1件決め、工事概要の数字を書類で確認する。5テーマ分の出来事を箇条書きで集める(第一次の勉強法は1級土木 第一次検定の勉強法)
  2. 第一次の直後(7〜8月):5テーマすべての下書きを作る。1欄8行前後に収まるよう削る
  3. 8〜9月:人に読んでもらって直す。社内の有資格者や先輩に頼めなければ、添削サービスを使う
  4. 9月〜直前:手書きで時間を計って書く。問題2〜11も過去問で、実際に書いて時間内に終わるか確かめる

働きながら一人で書いて一人で直すのは、想像以上に時間がかかります。施工管理技士専門の通信講座「独学サポート事務局」(株式会社ディーラーニング)は1級土木にも対応しており、受講者の工事経験をもとにした経験記述の作成・添削指導を受けられます。

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添削を受けた文章でも、本番は自分の手で書きます。用意した文章を、自分の現場の言葉で説明できるところまで読み込んで直すことが前提です。2024年度・2025年度のように想定外のテーマが出たとき、最後に頼れるのは自分が集めた材料だけです。

よくある質問

発注者側(役所やコンサル)の経験でも書けますか

受検の手引の実務経験の基準では、発注者の従業員として施工を指導・監督した経験や、工事監理業務の受託者として工事監理を行った経験も認められています。経験記述は、その立場で実際に関わった内容を書きます。立場の欄も実際のとおりに書いてください。

2級のときに書いた工事を使ってもいいですか

使えます。ただし1級では2テーマ分の材料が必要なうえ、施工計画や環境のように2級では出ていないテーマもあります。同じ工事でも、5テーマ分の出来事が出せるかを確認してから決めてください。

2026年度の出題はどうでしたか

問題1は設問1が安全管理(労働者の災害防止に限定、交通誘導員の配置だけの記述は除く)、設問2が工程管理でした。詳しくは本文の「2026年度(10月4日実施)の出題」にまとめています。合格発表は2027年1月の予定です(日付は全国建設研修センターの発表で確認してください)。

第二次検定の受検資格のうち、第一次合格後3年で受けられる条件は特定実務経験とはで解説しています。

まとめ

  • 1級土木の経験記述は、2024年度から2テーマを同じ工事で書く形。1テーマ2欄、各8行前後(2024年度)
  • 2024年度は安全管理と施工計画、2025年度は品質管理と環境、2026年度は安全管理(労働者災害に限定)と工程管理。定番テーマにも条件が付く
  • 工事は1件に決め、品質・安全・工程・施工計画・環境の5テーマ分の出来事をそろえる
  • 「現場状況・課題」は短く言い切り、「対応処置」に数字と行数を使う
  • 第一次の勉強と並行して材料を集め、第一次の直後から下書きと添削に入る

受検資格や試験日程、合格率などの全体像は土木施工管理技士の取り方|1級・2級の違いと新しい受検資格・合格率・勉強の順番にまとめています。2級の経験記述は2級土木施工管理技士の経験記述の書き方で解説しています。

参考資料

  • 一般財団法人全国建設研修センター「令和8年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定 試験問題」 PDF
  • 資格の学校TAC「令和8年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定 講評」 ページ
  • 一般財団法人全国建設研修センター「令和8年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定 受検の手引」 PDF
  • 一般財団法人全国建設研修センター「令和7年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定 合格者の発表」 資料
  • 一般財団法人全国建設研修センター「令和6年度からの技術検定の見直し(土木)」 資料
  • 国土交通省「技術検定試験の見直し(試験問題)」 報道発表
  • 日建学院「1級土木施工管理技士 第二次検定 試験分析(2024年度)」 ページ/総合資格学院「1級土木 第二次検定 総評(2025年度)」 ページ
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この記事を書いた人

Construct Review 運営者・編集責任者。1級土木施工管理技士。ゼネコンで約10年、施工管理に従事。現場で見てきたことをもとに、施工管理技士の受検、転職とキャリア、一人親方と建設会社のお金、現場のDXツールを解説しています。実際に使っていない製品・サービスは、その旨を明記したうえで公開情報をもとに書いています。

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